平成29年第2回定例会本会議一般質問(6月28日)

2018.05.12 12:00:00

第2回定例会本会議一般質問(6月28日)
 
1 地域における医療・介護の確保について
2 新たな介護保険制度への対応について
3 災害廃棄物処理計画について
4 道路の防災対策について

 
(梅尾議員)
 最後の質問者となりました。
 知事におかれましては、目の覚めるような御答弁をされるよう期待して、以下、質問に入らせていただきたいというふうに思います。
 まず、地域における医療、介護の確保についてであります。
 道は、平成37年には、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上になることを踏まえた、国の、医療・介護の総合的な確保に向けた取り組みを受けて、昨年12月、地域医療構想を策定いたしました。
 この構想では、医療機関相互の役割分担と連携の促進、医療と介護が連携した地域包括ケアシステムの構築、医療・介護従事者の確保・養成の三つを課題として取り上げており、地域包括ケアシステムの構築では、社会保障制度改革国民会議の報告書を引用して、「医療サービスや介護サービスだけでなく、住まいや移動、食事、見守りなど生活全般にわたる支援を併せて考える必要があり、(中略)人口減少社会における新しいまちづくりの問題として、医療・介護のサービス提供体制を考えていくことが不可欠」との考え方を示した上で、「特に市町村の役割は重要です。」としております。
 医療・介護サービスを受ける人の住まい、移動をどう確保するのか、毎日の生活をどう支えていくのか、医療・介護サービスの提供に従事する人たちの子育てなど、生活を支える仕組みをどうつくり上げて維持していくのか、こうした仕組み全体を市町村がどう確保し続けていくのかが課題になりますが、各市町村が単独でできないのであれば、近隣で連携して取り組む必要も出てくるものと考えているところであります。
 地域包括ケアシステムの構築に関して、まちづくりの問題として考えていくことが不可欠との考え方を示し、市町村の役割が重要と述べている課題に関して、道としてどのように取り組む考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
 
 次に、新たな介護保険制度への対応についてであります。
 国は、平成18年の医療保険制度改革で、いわゆる社会的な入院を是正するため、医療の必要性に応じた機能分担を進めることとし、介護療養病床への転換を進めてきましたが、必ずしも順調に転換が進んでいない状況であることは御承知のとおりであります。
このたび、介護保険法の一部を改正し、新たな介護保険施設の創設を進めることとしたところでありますが、この施設は、今後増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、医療的な管理が必要な介護者の受け入れなどの機能と、生活施設としての機能を兼ね備えた新たな施設とされており、市町村や医療法人、社会福祉法人などからの転換が想定されているわけであります。
 こうした介護保険施設は、要介護者はもとより、御家族の方々にとっても、日々の生活に欠かすことのできない重要な機能を担う施設であり、保険者である市町村が、要介護度の重度化の防止に取り組み、いかに制度を維持できるかといった観点からの検討が重要となります。
 一方で、市町村では、今後、人口減少が避けられない時代にどのようなまちづくりを進めていくかという観点や、自治体経営の観点からも、対応を検討していくことが必要不可欠であると思います。
 今後、道では、介護保険行政を所管するセクションが中心となり、新たな制度への対応を検討していくこととなりますが、市町村行政を所管するセクションや振興局との連携も重要になってくると考えます。
 道は、新しい介護保険制度への市町村の対応をどのように支援していくのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
 
 次に、災害廃棄物処理計画についてであります。
 昨年4月、熊本で大規模な地震が発生し、大きな被害をもたらしましたが、倒壊した家屋の瓦れきなど、大量に発生した災害廃棄物を処理するための復旧作業が今なお続いているところであります。
 国においては、平成26年3月に、東日本大震災の経験を踏まえ、今後発生が予想される地震、津波などの自然災害による被害を抑止、軽減するための災害予防や、発生した災害廃棄物の処理を迅速に行うための応急対応などについて、必要な事項を定めた災害廃棄物対策指針を策定し、都道府県及び市町村に対して、指針を踏まえた災害廃棄物処理計画を策定するよう求めており、最近の新聞   報道では、平成28年3月末の段階で、34都道府県が災害廃棄物処理計画を作成済み、または作成中であるとされております。
 本道においても、昨年、大雨を伴う台風災害で、河川の決壊、建物への浸水等により大量の災害廃棄物が発生し、その処理や復旧、復興に時間を要したことから、住民の生活環境や産業活動に大きな影響があったわけであります。
今後、異常気象などの影響で、これまでに経験したことのない自然災害の発生が懸念されるところであり、想定をはるかに超えた被害の発生による災害廃棄物の広域的な処理について、平時より計画を策定し、関係自治体を初め、団体、企業などとの連携を構築しておく必要があると考えます。
 このようなことから、道における早急な対応が求められているところでありますが、災害廃棄物処理計画について、今後、どのように取り組むお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 
 最後に、道路防災対策についてであります。
 一つ目として、道路の防災点検についてお伺いをいたします。
 本道では、昨年8月、台風の上陸が相次ぎ、住宅地や農地を初め、道路、河川などの社会インフラについても甚大な被害をこうむったところであります。
 また、最近では、3月に、岩内町の国道229号の敷島内トンネル付近において、直径約2メートルの巨大な落石があり、通行どめが2日間続いたとの報道もありました。幸い、被害はなかったようであり、通行どめの間も迂回路が利用できたことから、安堵したところでありますが、改めて、道路の安全対策は極めて重要なものと考えます。
 道では、道路における災害を未然に防ぐことを目的に、道路防災総点検を実施していると承知しておりますが、現在の取り組み状況や今後の対応についてお伺いをしたいというふうに思います。
 2点目として、路面下空洞調査についてであります。
 道路防災総点検では、大雨、地震による道路の落石や土砂崩れ、大雪による雪崩などの危険箇所を把握するために点検を実施するものと承知しております。
 昨今、路面下の空洞が原因と見られる道路陥没が全国で多発しており、国土交通省が公表した資料によると、下水道管の老朽化などが起因し、全国で年に3000カ所以上の道路陥没が発生しているとのことであります。
 また、道が実施した平成25年度からの調査では、補修が必要となった空洞が13カ所発見され、修繕を行ってきたと聞いております。
 国や札幌市などでは、路面下空洞調査を計画的に実施しており、道においても、道路における災害を未然に防ぐため、路面下空洞調査について、計画をつくり、継続的に行うべきと考えますが、道のお考えをお聞きし、私の質問を終わります。
 
(高橋知事)
 梅尾議員の御質問にお答えをいたします。
 地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、高齢者の方々が、医療や介護が必要となっても、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、住まいや交通のあり方なども含め、地域全体で支えていく仕組みが必要であり、こうした考え方を、昨年策定した地域医療構想に盛り込んだところであります。
 道では、今後とも、この構想の実現に向け、各地域に設置している地域医療構想調整会議において、医療や介護の関係者はもとより、市町村長、住民代表の方々にも御参加をいただきながら、まちづくりも含めた幅広い観点から議論を進めていく考えであります。
 また、市町村などに対し、高齢者の方々の住まいの確保などのすぐれた事例の提供や、地域医療介護総合確保基金を活用した支援を行うなど、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムが構築されるよう取り組んでまいる考えであります。
 なお、その他の御質問につきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
以上であります。
 
(保健福祉部少子高齢化対策監)
 新たな介護保険制度への対応についてでございますが、高齢化が急速に進行する中、今回の制度改正におきましては、医療と介護が連携した新たな施設の創設等による地域包括ケアの推進や、所得の高い利用者に対する負担割合の見直しなどによる制度の持続性の確保について、検討が進められております。
 道では、平成30年度からスタートする介護保険事業支援計画の策定に当たりまして、高齢化対策の総合的な企画調整を行うため、庁内に検討組織を設置して、介護関係部局と、人口減少やまちづくりを所管する部局が緊密に連携するとともに、市町村の代表等で構成する計画検討協議会における意見交換や、各振興局に設置する圏域連絡協議会における協議を行うこととしております。
 今後、こうした会議での検討を踏まえながら、市町村に対し、必要な助言や情報提供を行うなど、地域全体で高齢者を支える体制づくりに向けて、市町村への支援に取り組んでまいる考えでございます。
 以上でございます。
 
(環境生活部長)
 災害廃棄物処理計画についてでありますが、災害に伴い生じる廃棄物を円滑、迅速に処理するためには、平常時から、関係者による連携協力体制を構築しておくことが重要と考えております。
 国におきましては、近年の大規模災害を教訓に、都道府県の区域を超えた広域的な処理体制を構築するため、全国の8ブロックで災害廃棄物対策行動計画を策定することとし、本年3月には、北海道ブロックの行動計画が、学識者等で構成する協議会での議論を経て、策定されたところでございます。
 この行動計画では、災害廃棄物の仮置き場や運搬手段の確保、初動対応の手順など、都道府県及び市町村の計画に定めるべき具体的な対策も示されておりますことから、道では、本年4月から、新たに、北海道地方環境事務所に職員を派遣し、国との連携を密にするとともに、専門家や市町村等からも御意見を伺いながら、災害廃棄物処理計画を早期に策定するなどして、本道における災害廃棄物処理体制の強化を図ってまいります。
 以上でございます。
 
(建設部長)
 道路の防災対策に関しまして、初めに、道路の防災点検についてでございますが、本道では、近年、局地的な集中豪雨による被害が頻発しており、道路災害につながる要因を早期に発見して把握することは大変重要であると認識しているところでございます。
 このため、道では、平成18年度に実施した道路防災総点検から10年が経過したことを踏まえ、改めて危険箇所の状況を把握するため、平成28年度から、豪雨による落石や岩盤崩壊、大雪による雪崩などが懸念される箇所の点検に着手をし、全道で約9000カ所のうち、これまでに約3000カ所の点検を終えたところでございます。
 今後は、残りの点検につきましても早期に着手し、この点検の結果を踏まえ、必要な対策を講じるなど、道路の安全性の向上に引き続き取り組んでまいります。
 次に、路面下空洞調査についてでございますが、道では、平成25年度より、全道の建設管理部において、一部の路線を対象として、試行的に路面下の調査を進めてきたところでありまして、これまでの調査によって、下水道などの埋設構造物が多い市街地で空洞の発生率が比較的高いことが確認をされたほか、郊外においても、道路排水管の破損に伴う路盤の吸い出しによる空洞などが見つかったところでございます。
 このような試行の結果を踏まえ、今年度以降の調査につきましては、市街地を優先するとともに、緊急輸送道路としての位置づけや交通量といった路線の重要度に応じて、調査の頻度を設定するなど、計画的に実施をすることとし、危険な空洞の早期発見に努めてまいる考えでございます。
 以上でございます。