平成29年第16回新幹線・総合交通体系対策特別委員会質疑(11月27日)

2018.05.13 16:00:00

第16回新幹線・総合交通体系対策特別委員会質疑(11月27日)
 
1 道内空港の運営の民間委託に係る取り組みについて
 
(梅尾委員)
 今、民間委託における女満別空港の収支見通しについて、御報告がありました。 私のほうからは、報告内容に関して、数点、質問をしてまいりたいと思います。
 まず、北海道が継続して運営した場合についてお尋ねをしたいと思いますが、女満別空港の運営の民間委託に当たり、道が引き続き運営を継続した場合の試算が、今、示されたところでありますが、報告では、平均6億8000万円の支出が必要とされているところであります。
 この試算結果は、どのようにして算出されたのか。また、この結果を、道はどのように受けとめているのか、まず、お伺いをしたいと思います。
 
(空港運営戦略推進室長)
 女満別空港の運営にかかわる試算についてでございますが、今般お示しした道による運営を継続した場合の支出見込みは、滑走路やエプロン等の更新投資にかかわるこれまでの実績や運営にかかわる費用等の実績を踏まえ、4管理者が共通のアドバイザーに委託し、各空港とも同じ条件で推計したものでございます。
 道におきましては、平成22年度から毎年度、企業会計の考え方を取り入れた道管理空港の空港別収支を公表しておりますが、平成27年度の女満別空港につきましては、航空系と非航空系の両事業を合わせた上下一体の経常損失は約7億円となっており、このたびの調査結果は、こうした収支状況が反映されたものと考えております。
 
(梅尾委員)
 次に、今の収支改善効果についてでありますが、一括民間委託の効果に関する試算が示され、その効果として、年間1億2000万円の収支改善が見込まれるとの結果が示されました。
 この試算には、どのような効果を見込んだのか、お伺いしたいと思います。
 
(空港運営戦略推進室参事)
 収支改善の効果についてでございますが、収支改善効果としては、滑走路などの航空系事業の収支に空港ターミナルビルや駐車場などの非航空系事業の収支を合算することによる空港ビル事業等の収益の取り込みの効果のほか、受託者が空港ビル会社と空港管理者が別々に発注していた業務を一体的に発注することなどによる効率化、また、7空港の一括運営による役員報酬や経理事務等経営体制の効率化といった民間委託による効果が、ある程度確実に見込まれるものを見込んでいるところであります。
 
(梅尾委員)
 次に、民間委託効果を除いた費用が出されましたけれども、この試算結果から、民間委託した場合においても、年間で5億6000万円もの費用が発生する中で、道として、女満別空港の民間委託を実現するために、どのような方法があると考えられているのか、お伺いをしたいと思います。
 
(空港運営戦略推進室参事)
 民間委託効果を含めた運営に係る費用についてでございますが、今回の収支シミュレーションの結果、女満別空港については、30年間の委託期間を通じ、年平均1億2000万円程度の収支改善効果が見込まれ、道が運営を継続するケースよりも支出が36億円低減するものの、なお、年平均で5億6000万円程度の費用が発生する見込みが示されたところであります。
 こうした中、先行例である富士山静岡空港においては、上下一体化の効果を考慮しても、なお、費用が必要と見込まれることから、公費支出を伴う混合型コンセッション方式により受託者の募集を進めており、道としても、当空港の事業方式を参考として検討しているところであります。
 
(梅尾委員)
 ただいま、富士山静岡空港において、公費支出を伴う混合型コンセッション方式により、受託者を募集しているとの答弁がありましたが、そもそも、混合型コンセッションとは、どのような仕組みを想定しているのか、お伺いをいたします。
 
(空港運営戦略推進室参事)
 混合型コンセッションの仕組みについてでございますが、混合型コンセッションは、一定の公費支出を行いながら公共施設に運営権を設定し、民間事業者に業務を委託するものであります。
 想定される仕組みとしては、募集要項で公費支出の最大額を示し、応募者から空港の将来計画や公費の支出額の削減などについて提 案を求め、審査において、今後の空港の成長を最大化する将来計画やそれに基づき削減される公費の支出額を評価対象とする仕組みが考えられるところでございます。
 
(梅尾委員)
 昨年度の調査事業やこのたびの報告の結果を踏まえると、女満別空港を民間事業者に委託した場合、直ちに事業者の経営が成り立つ可能性は極めて低いのではないかと考えるところであります。
 これまで、道では、混合型コンセッションの先行例である富士山静岡空港を研究してきたものと承知をしておりますが、その事業方式はどのようなものなのか、お伺いしたいと思います。
 
(空港運営戦略推進室参事)
 富士山静岡空港の事業方式についてでございますが、混合型コンセッション方式による民間委託の手続を進めている富士山静岡空港では、募集要項において、運営権者が策定する全体計画に定められた空港基本施設等の更新及び修繕に係る費用や、重要備品の更新または修繕に係る費用について、県の支出を求めることができるとされており、運営権者がみずからの負担分を考慮し提案した範囲内で、県が支出することとしております。
 
(梅尾委員)
 この混合型コンセッション、県の支出をすることになっているということで、現在、先ほどあったように更新投資、これについて、今までは国の補助金も入れながら、6分の5ぐらいの比率だと思いますけれども、その更新投資を実現してきているということになりますが、今、混合型コンセッションにおいても、その5億6000万円にかかわる更新投資の国の補助金、これも、しっかりと担保しながら、国との交渉に臨む必要が私はあると認識をしておりまして、今はまだ結論は出ていないと思いますけれども、そのことを踏まえて、国との折衝に当たっていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 次に、混合型コンセッション方式では、民間事業者からの提案の範囲内で公費負担を行うという形とのことでありますけれども、当初、事業者が想定していた計画を達成できず、収支が悪化する可能性も十分あるものと考えるわけであります。
 その場合、混合型コンセッション方式では、自治体が委託当初に決めた公費支出の額以上に支出を行うことになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
 
(空港運営戦略推進室次長)
 混合型コンセッション方式におけます公費負担についてでございますが、混合型コンセッションでは、募集段階におきまして公費支 出の範囲を示し、その範囲内で事業者から提案を受け、提案のあった支出の額に基づき契約を結ぶこととなります。 事業期間における収支の変動につきましては、事業者が負担すべきリスクでありますことから、当初契約した支出額を超えた負担を行うことはございません。
 
(梅尾委員)
 以上に負担することはないという御答弁でございますので、その辺が非常に誤解を招きかねない部分でありますので、これから、さらに明確にしていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、このたびの女満別空港の収支見通しに関する収支の試算結果によりますと、民間委託により、収支の改善は見込まれるものの、トータルでは、運営には一定の費用が必要となるとの見通しが示されたところであります。
 このような中、道として、女満別空港の民間委託を、今後、どのように進めていこうとされているのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
 
(空港戦略推進監)
 女満別空港の民間委託の進め方についてでございますが、空港運営業務の委託に当たりましては、4管理者と受託者がそれぞれ個別に契約を締結することとなっておりまして、個別契約において、受託期間を通じて赤字となることを前提とした条件で契約を締結することは困難であると考えているところでございます。
 こうしたことから、道としては、今回の試算結果を十分検討した上で、女満別空港における混合型コンセッションの採用の可否とその内容について検討を進めるなど、民間事業者が応募可能な環境を整え、意欲ある事業者を選定し、このたびの道内空港の運営の一括民間委託を通じて、道費支出の額をできるだけ低減させながら、道内航空ネットワークの充実強化や複数空港連携による広域観光の一層の振興を実現し、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えているところでございます。