平成26年特別委員会 道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会①

2014.02.05

平成26年特別委員会
 
道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会
① 道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会(2月5日)
一 国の事務権限移譲等見直し方針について
② 道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会(6月16日)
一 道州制をめぐる地方団体の意見の対立について
二 道と市町村の地方自治をめぐる連携・協力について
 
道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会① 2月5日

一 国の事務権限移譲等見直し方針について
 
(梅尾議員)
私から国の事務・権限移譲等見直し方針についてお伺いしたいと思います。
政府は昨年暮れ、地方分権改革を推進するため、国から地方公共団体への事務・権限の移譲と都道府県から政令指定都市への事務・権限の移譲に関する見直しの方針を明らかにしております。
今後、道においても移譲に向けた検討が進められることとなりますが、国からの移譲を受ける事務・権限はこれまで道にはなかったものであり、財源の確保や執行体制の整備などに取り組まなければならず、札幌市への移譲に当たっても同様の課題への対応が求められるものと考えるところであります。
このたびの国の見直し方針についてどのように受けとめているのか、また、今後どのように対応していくお考えなのかなどについて、以下質問してまいりたいと思います。
 
(一)この度の事務・権限移譲について

(梅尾議員)
その一つ目として、このたびの事務・権限移譲についてでありますが、今回のような国から都道府県への包括的な事務・権限の移譲の事例は、これまでに何度かあったのかお伺いしたいと思います。
 
(地域主権局参事)
国からの事務・権限の移譲についてでありますが、平成20年12月の地方分権改革推進委員会第2次勧告において、国の出先機関について、国と地方の役割分担を踏まえ、事務・権限の見直しなどの具体的な改革の方法が提言されて以降、国においては、平成21年3月に決定された出先機関改革に係る工程表や、平成22年に各府省が出先機関の事務・権限の移譲について検討を行った自己仕分け、さらには翌23年夏以降のいわゆる出先機関の丸ごと移管のようにこれまで国から都道府県等への事務・権限の移譲が検討されてきた経過はありますが、いずれも実現までには至らなかったところでございます。
こうした中、国から都道府県等への事務・権限の移譲については、このたび閣議決定されました事務・権限の移譲等に関する見直し方針によって、初めて行われるところでございます。
 
(二)見直し方針の評価について

(梅尾議員)
その見直し方針の評価についてお伺いいたします。
道州制特区提案に対する国の対応で見られるように、これまで地方が国に権限移譲を求めても容易に応じることがなかったものと受けとめておりますが、このたび示された国の見直し方針における国から地方自治体への事務・権限の移譲等は、大蔵ざらえのように全国一律に移譲案件を示し、交付税措置で財源対策を講じるから粛々と移譲を進めてもらいたいと言っているように感じてならないわけであります。
道が進めている市町村への事務・権限の移譲が手挙げ方式で行われ、結果として全市町村が移譲を受け入れた事務・権限が120件にとどまっているにしても、地域それぞれの事情を考慮しながら一律に進める点では、地方分権の考え方に沿うものであると私は考えております。
このたびの見直し方針について、今お話ししたようなことを踏まえて、道としてどのように評価されているのかお伺いしたいと思います。
 
(地域主権局広域連携担当局長)
見直し方針についてでございますが、このたび国において閣議決定されました事務・権限の移譲等に関する見直し方針については、これまで国の出先機関が所管してきた48事項の事務・権限を都道府県等に移譲しようとするものでございます。
これらの事務・権限の中には、理容師や美容師、看護師、救急救命士など、道民生活に欠かせない専門技術者の養成に関するものが多く含まれており、また、直轄道路・河川に係る整備等に関する計画、工事及び管理の実施等のように、全国一律ではなく地方との協議を踏まえて移譲を進めるものなど、地域の実情にも一定の配慮がなされているものと認識しております。
道といたしましてはこのたびの見直し方針によって移譲される事務・権限を的確に執行することにより、地域の自主性・自立性の向上や道民の利便性の向上につながるよう努めてまいりたいと考えております。
 
(三)知事会要望の反映状況について

(梅尾議員)
次に知事会の要望の反映状況についてお伺いしますが、このたびの見直し方針に係る国の検討過程において、知事会が要望し移譲されたもの、知事会が要望したにもかかわらず移譲されなかったもの、知事会は要望していないが移譲されたものなど、さまざまな事務・権限が当該見直し方針に盛り込まれているものと認識しておりますが、どのような状況になっているのかお伺いしたいと思います。
 
(地域主権局参事)
事務・権限の移譲に関する全国知事会の要望についてでありますが、このたびの見直し方針においては、これまで全国知事会が要望してきた農地転用、ハローワーク、地域交通、中小企業支援などに関する事務・権限のうち、自家用有償旅客運送の登録・監査や中小企業の経営承継の円滑化に関する事務など、一部の事務・権限について移譲されることとなったところでございます。
なお、これらを含めたこのたびの48の事務・権限を都道府県等に移譲することにつきましては、当該方針の検討、取りまとめの過程において、全国知事会においても同意しているところでございます。
 
(四)知事会要望が認められなかった権限について

(梅尾議員)
知事会要望が認められなかった権限もあるようですが、知事会から特に権限移譲を求めてきたが結果的に移譲が認められなかったものについては、今後どのように対処されていこうとしているのかお伺いいたします。
 
(地域主権局参事)
権限移譲に関する全国知事会の今後の対応についてでありますが、全国知事会においては昨年末、今回見直し方針において移譲されなかった事務・権限についても、農地転用やハローワークなど地方からの要望の強い分野を中心に移譲する方向で検討を進めることを国に強く求めたところでございます。
特に農地転用につきましては、国における今後の検討の動きを見据え、本年1月、知事会に農地・農村臨時部会を設置し、農地制度のあり方に関する提言等の取りまとめに取り組むなど、事務・権限の移譲をより強く国に働きかけていくものと承知しております。
道といたしましては今後とも全国知事会などと連携を図りながら、引き続き国に対して移譲を求めてまいる考えでございます。
 
(五)札幌市への移譲について

(梅尾議員)
ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に札幌市への移譲についてお伺いしたいと思います。
札幌市への移譲については非常に難しい問題も含まれておりますが、どのように進めていこうとされているのかお伺いしたいと思います。
 
(地域主権局参事)
札幌市への事務・権限の移譲についてでございますが、国の事務・権限の移譲等に関する見直し方針におきましては、道から札幌市へ29の事務・権限が法定移譲されることとなっており、これらの事務・権限の移譲時期については、今国会に提出される予定の一括法案で定められ、体制整備などに時間を要するもの以外は、平成27年4月から移譲される見込みとなっているところでございます。
道といたしましては事務・権限の移譲に当たり、住民や企業など利用者の方々が混乱することがないよう、移譲事務に関する業務マニュアルの整備や住民等への周知に努めますとともに、札幌市における職員の育成や組織体制の整備、さらには必要な情報システムの構築を支援するなど、札幌市と緊密に連携・協力しながら事務・権限の移譲が円滑に進められていくよう取り組んでまいる考えでございます。
 
(梅尾委員)
今までの権限移譲に対する札幌市のスタンスは、約3100権限を179市町村への移譲対象としてきたのは正直無理な話ではなかったか、非現実的だと見られてきたように私は感じておりますので、道州制に向けた権限移譲、法定移譲を含めて政令指定都市としての責任をしっかりと自覚し、果たしていただきたいということも、ぜひとも道のほうから札幌市に伝えていただきたいというふうに思うところであります。
 
(六)移譲事務・権限の担当部局について

(梅尾議員)
続きまして移譲事務・権限の担当部局についてでありますが、今回地方公共団体に移譲されることとなる事務・権限の中には、これまで北海道がかかわってこなかったものや道の複数の部局にまたがるものなどが含まれており、道民生活に支障などを来すことなく国から道への円滑な移譲を進めるためには、移譲後の道庁内における所管部局等について早急に決定し、移譲に向けた検討に取り組む必要があると考えるわけであります。
担当部局はいつまでに固めていこうとされているのかお伺いしたいと思います。
 
(地域主権局広域連携担当局長)
移譲事務・権限の担当部局についてでございますが、国からの事務・権限の移譲につきましては、円滑な受け入れに向けて、これまでも関係部に対して情報提供等を行い認識の共有に努めてきたところでございます。
このたび都道府県等に移譲されることとなる48の事務・権限の中には、委員御指摘のとおりこれまで道がかかわってこなかったものや複数の部局にまたがるものもあることから、引き続き移譲対象となる事務・権限に関する情報収集に努めるとともに、移譲の準備作業におくれが生じることのないよう人事担当部局とも協議を行いながら、担当部局の設定など適切に準備を進めてまいりたいと考えております。
 
(梅尾議員)
担当部局の設定は非常に大事なことでありますし、職員の方々においても事務の過重負担になるところが出ることも予想されますので、ぜひとも早目に協議を進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
 
(七)課題への対応について

(梅尾議員)
次に課題への対応ということで、これだけの大幅な事務・権限が国から移譲されることになれば、道においては業務的にも財政的にも相当な負担増などが見込まれるわけでありまして、道民生活に影響を及ぼすことなく円滑な移譲が実現できるのか、私は大変懸念するところであります。
どのような課題があって、課題解決に向けてどのように対応していこうとされているのかお聞かせいただきたいと思います。
 
(地域主権局広域連携担当局長)
移譲に向けた対応についてでございますが、国から道への事務・権限の移譲によりまして、道において新たに、人員や組織、業務を遂行するための財源、円滑な業務の引き継ぎなどが必要となります。
こうしたことから昨年12月12日の国と地方の協議の場において、地方6団体から事務・権限の円滑な移譲等を進めるため、地方の意見を十分反映して財源措置、移譲等のスケジュール、研修の実施・マニュアルの整備等について具体的な検討と調整を進めるよう国に申し入れたところでございまして、今後は道といたしましても全国知事会などと連携を図りながら、国が移譲等に必要な財源措置や支援等を確実に行うよう引き続き求めてまいる考えでございます。
 
(八)今後の取組について

(梅尾議員)
最後になりますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
事務・権限の移譲に当たっては、地方のことは地方が決定するといった地方自治の本旨を全うするという考え方に立って臨むべきであると考えるわけであります。
今後、道として市町村や道民の意向をどのように把握し、国に対して対応を求めていこうとされているのか、また、他の都府県とどのように連携を図っていこうとしているのかお聞かせ願います。
 
(総合政策部長兼地域振興監)
事務・権限の移譲に関する今後の取り組みについてでございますが、国から地方への事務・権限の移譲につきましては、これまでも毎年度振興局ごとに開催しております事務担当者会議などにおきまして市町村の意見をお伺いしますとともに、ホームページなど各種広報媒体やあるいは文書照会などによりまして、道民の方々や各種団体などの意向把握に努めてきたところでございます。
そうした結果を踏まえまして、道州制特区の提案でありますとか、さらには事務・権限の移譲に関する国への要望、そしてまた、道から市町村への事務・権限の移譲などに道として取り組んできたところでございます。
今後、道といたしましては事務・権限の移譲が地域の自主性・自立性の向上につながるよう引き続き市町村などの意向を十分に踏まえまして、また、全国知事会を通じて他都府県との連携も図りながら、さらなる移譲を進めていけるよう今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。