平成25年定例会本会議一般質問(第1回)

2013.03.07

平成25年定例会本会議一般質問(第1回)
 
① 第1回定例会本会議一般質問(3月7日)
一 北海道都市型地震災害対処訓練について
二 空港の民営化について
三 道産食品の輸出促進について
 
一 北海道都市型地震災害対処訓練について
 
(一)訓練の成果と課題について
 
梅尾議員
北海道都市型地震災害対処訓練においては、訓練初日の夜間になり、始めて多数の避難者の存在が明らかになるなど、情報共有や、それに伴う応急対策が十分に機能していない面も見受けられたものと承知しています。
まずは、道として今回の訓練の成果と課題について、どのように認識しているのか伺います。
 
高橋知事
訓練の成果と課題についてでありますが、この度の訓練は、「想定外」を無くすという考えの下、大規模災害発生時における災害対策本部の対応の在り方を検証するとともに、職員が災害時の対応を体験することなどを目的に実施したところ。
訓練では、次々に発生する様々な事案に対し、参加した職員が自ら考え、実際に対応することにより実践的な訓練となった一方で、関係機関との情報共有や本部設置の在り方、更には、支援物資の供給体制などの課題も確認されたところであり、現在、課題等の整理中であるが、既に明らかになっている課題については、速やかに見直しを行ってまいる考え。
 
(二)北海道災害対策本部機能等について
 
1 北海道災害対策本部のハード機能強化について
 
梅尾議員
災害対応は、まず初動が重要であり、他県においては、専用の災害対策用の執務室を備えているところもあると聞いていますが、道においては、今回の見直しによりどの様な効果があると考えているのか所見を伺います。
 
危機管理監
災害対策本部の設置環境についてでありますが、道としては、今後、本庁舎の耐震改修工事にあわせて、災害時に対策本部として優先的に使用することができる新たなスペースを確保することとしており、これにより、災害応急対策の中枢を担う災害対策本部の、より速やかな設置が可能となり、初動体制の充実強化が図られるものと考えている。
 
2 災害対策本部の班編成について
 
梅尾議員
道の災害対策本部の構成は、本庁の本部の班編成と現地における班編成と整合性が取れておらず、改善が必要と考えます。道として、どの様に認識し、対処するのか伺います。
 
高橋知事
災害対策本部の編成についてでありますが、道では、これまで災害発生時においては、本庁の各部に対応した班を設置し、応急対策を実施してきたところであるが、この度の訓練を通じて、大規模災害においては、広範囲にわたり速やかな対応が求められる救助や被災害状況等の把握において、現行の組織では、必ずしも有効に機能しないことが明らかになったところ。
道としては、この度の訓練結果に加えて、昨年の災害対策基本法の改正において、都道府県の災害対策本部の果たす役割が強化されたことなども踏まえ、迅速かつ的確な応急対策が可能となるよう班編成の見直しを含め、災害対策本部の運営の在り方について検討を行ってまいる考え。
 
(三)防災関係機関の活動拠点の確保などについて
 
梅尾議員
部隊の活動拠点については、架空の場所としたようですが、実際に災害が発生した場合に備えて、道も市町村も応援を受け入れる体制、すなわち受援体制の検討が必要と考えますが所見を伺います。
危機管理監
災害時における受援体制についてでありますが、大規模災害が発生した場合には、道内はもとより、道外からの広域的な応援を得て、災害に対処する必要があることから、道としては、全国から集まる警察・消防・自衛隊などの応援部隊の活動拠点や支援物資の集積場所などについて、あらかじめ候補地を選定しておくなど、大規模災害を想定した受援体制の在り方について、今後、関係機関とともに検討を行ってまいる考え。
 
(四)航空機の運用調整等について
 
梅尾議員
災害時に各関係機関が保有する航空機が円滑に救助救命活動を進めるため連携すべきと考えますが、所見を伺います。
また、災害現場ではマスコミのヘリ等が多数飛行することも考えられ、災害救助活動に支障がでないよう、航空機の運航調整が必要と考えますが、併せて所見を伺います。
 
危機管理監
災害時における航空機の運用調整についてでありますが、災害発生時には、自衛隊など防災関係機関が保有する航空機を相互に連携・調整しながら救助や救急などの活動にあたることが大変有効であると認識しているところ。
このため、本道においては、防災関係機関による「北海道ヘリコプター等運用調整会議」を開催し、航空機による効果的な災害対策活動のあり方や安全な運行を確保するための飛行要領等を定める計画の策定に取り組んでいるところ。
 
(五)救援物資等の物流体制などについて
 
梅尾議員
今回の訓練を踏まえ、協定を締結している企業等の供給能力などを把握しておく必要があると考えますが、所見を伺います。
 
高橋知事
災害時における民間との協力体制についてでありますが、現在、道では、災害時における、救助や救援、生活物資の供給などに関して、建設業やコンビニ、輸送関連などの49の企業や団体と協定を締結しているところ。
この度の訓練を通じて、災害時における食料や燃料の確保について、民間協力の重要性が、あらためて明らかになったところであり、道としては、今後、協力企業のさらなる拡大を図るとともに、民間において提供可能な物資等の供給量や、輸送手段などについて、あらかじめ把握してまいる考え。
 
(六)情報の共有について
 
梅尾議員
我が会派の代表質問で「共通の地図の策定に向け検討」と答弁がありましたが、この「地図」を活用した情報共有が効果的と考えますが、具体的にどの様に取り組んでいくのか、所見を伺います。
 
危機管理監
災害時における情報の共有についてでありますが、災害において、人命救助などの災害応急対策を迅速かつ効果的に行うためには、速やかに被災場所などを特定することが重要であり、防災関係機関相互の情報共有が欠かせないものと認識。
この度の訓練後の関係機関との意見交換において、災害応急活動のための関係機関共通の地図の活用について提案があったことから、道では、地図の策定に向け、救助活動を行う関係機関との意見交換を行い、位置を特定するための統一的な基準や必要な施設情報の選定などについて、具体的な検討を進めてまいる考え。
 
(七)市町村と自衛隊の連携協定について
 
梅尾議員
災害対応では市町村における初動対応が大変重要で、自衛隊との連携協定が有効。協定締結に向けた市町村の取組に対し、道として支援が必要と考えますが、所見を伺います。
 
危機管理監
市町村と自衛隊の連携についてでありますが、道としては、地域の防災力強化の観点から、市町村と自衛隊との連携強化が重要であると考えており、今年度においては、13の振興局と63の市町村で監部職員を対象とした研修会や懇談会などを開催し、道と自衛隊の協定の内容や災害派遣の仕組みなどについて情報提供を行ってきたところであり、今後も、引き続き、こうした機会を積極的に活用しながら、協定の締結を含めた自衛隊との連携促進について、市町村の取り組みを支援して参る考え。
 
二 空港の民営化について
 
(一)法案について
 
梅尾議員
今月末に空港経営改革についての法案が再度国会に提出される予定と聞いますが、この法案は、国が維持管理している滑走路と民間が経営しているターミナルビルや駐車場の経営を一体化できるようにするというものと認識しています。
今回、法案の内容がどのように変わる予定なのか、伺います。
 
建設部長
空港経営改革に係る法案についてでありますが、国では、昨年3月に公共施設の運営を民間事業者に委ねることを可能とするPFI法の制度を空港運営にも活用できるようにするための法律案を国会に提案したところであるが、審議未了で廃案となったところ。
今後、空港経営改革に係る法律案については、昨年提案されたものを一部修正をした上で、今月末に再度提案される予定と聞いている。
今回、修正される事項としては、国土交通大臣が策定する基本方針において、民間の能力を活用した空港運営を進める際には、地域の実情を踏まえ、関係者相互の連携の下に地域活力の向上が図られるべきであることを基本理念として定めることや空港経営改革の対象とする空港などの選定に当たっては、空港ごとに設置されている関係自治体などからなる協議会の意見を聴くことが想定される予定と聞いている。
 
(二)道の調整について
 
梅尾議員
道では、昨年、道内空港の運営のあり方についての検討を進めるため、また、空港経営改革を進める国に対して意見を出していくため、海外事例調査を行った訳でありますが、その結果、どのようなことが分かり、今後どのように調査結果を活用していくつもりなのか伺います。
 
建設部長
海外事例調査についてでありますが、道では、国の空港経営改革の動きを見極めながら、道内空港の運営について提案を行うことや国が制度設計などの検討を行う際に意見を出していくことが重要と考えており、そのためには、海外における民間活用事例についての検討も行う必要があるため、昨年、海外事例調査を実施したところ。
今回の調査により、道内の地方空港と同規模の海外空港における運営の状況を把握し、民間経営による効果や留意すべき事項などを整理するとともに、複数の空港を一体的に運営している事業者へのヒアリングを通じて、リスクの分散やコストの削減、ネットワークの拡充など、一体運営を行う目的やその効果などについて確認したところ。
今後、道内空港の関係者の皆様方と今回の調査結果を共有し、本道の空港運営のあり方についての議論を深めていくとともに、国に対してしっかりと意見などを述べていく考え。
 
(三)道のこれまでの取組について
 
梅尾議員
国の空港経営改革について、道では、有識者の懇談会や道内13空港の関係者による検討会議を開催し検討を進めてきましたが、調査以外にどのようなことに取り組んでいるのか伺います。
また、有識者懇談会の提言では、効率化を図ることとされたが道内空港の効率化に向けてどのようなことを行ったのか伺います。
 
建設部長
道のこれまでの取組についてでありますが、平成23年10月に道が設置した「空港運営に関する有識者懇談会」おいては、今後、道内空港を取り巻く状況が更に厳しくなる中で、持続的な空港運営を確保するためには、それぞれの空港において効率化を進めることが不可欠とされ、効率化を進める上で、空港収支について更なる情報開示を行うことなどが重要とされた。
道では、道内の国管理空港に係る空港収支について更なる情報提供を国に求めるとともに、道管理空港の空港収支については、どのような情報が必要かについて地域の関係者の皆様方と意見交換を行い、昨年12月に空港整備費を計上した収支についても試算し、公表したところ。
今後、さらに、道管理空港の効率的な運営について検討を進め、引き続き、空港運営の効率化に向けた取組を着実に進めていく考え。
 
(四)他県の検討状況について
 
梅尾議員
国の空港経営改革に対しては、宮城県や青森県など他県において検討会議を開催し、様々な検討が行われているものと承知しています。
道においても他県における検討状況などを参考にしながら、今後の対応について考えていく必要があると思いますが、他県の検討状況や対応の方向性に対する道のお考えを伺います。
 
建設部長
国の空港経営改革対する地方の取組についてでありますが、道では、これまで国の空港経営改革の動きを受け、道内空港の運営のあり方について検討を行う際の参考とするため、他県の空港関係者と情報交換を行ってきたところ。
例えば、宮城県では、国の管理空港である仙台空港について法案成立後、国の経営改革を踏まえた経営の一体化や民間への運営委託を早急に進めるよう国に求めていく考えと聞いている。
また、青森県では、県の管理空港である青森空港について国の経営改革を進めた場合に、単独で空港の運営が成り立つのかという観点から検討を進めていると聞いている。
道としては、引き続き、他県の状況の把握に努めてまいるが、空港の規模や管理者が異なる、多くの空港を有する本道においては、まずは、道内空港の関係者の皆様方と今後の対応について議論を深めていくことが重要と考えている。
 
(五)今後の対応について
 
梅尾議員
報道によれば、今国会では、審議する法案の数を絞り込んでいるとのことであり、今年は法案が成立するものと思いますが、道はどのようなタイミングで関係者と再度議論をはじめ、どのような方向性で道内空港の運営のあり方についてまとめていこうとしているのか、知事のお考えを伺います。
 
高橋知事
今後の対応についてでありますが、国では、昨年、国会に提案し審議未了で廃案となった空港経営改革に係る法律案について、今年末に、再度提案する予定と聞いているが、国の空港経営改革における基本的な考え方については、これまでと同様、法案の成立後に基本方針として示される予定であり、その策定に当たっては、関係自治体などから十分に意見を聴取した上で行うものと理解。
今後、法案の提案時期など、国の動きを見ながら、今月末にも第2回目の「道内空港の運営に関する検討会議」を開催し、法案の修正や昨年道が実施した海外における民間を活用した空港運営の事例調査の結果について関係者の皆様方と情報共有を図るとともに、これからを踏まえながら、今後の進め方や対応の方向性などについて検討してまいる考え。
 
三 道産食品の輸出促進について
 
(一)道産農水産物の輸出促進について
 
梅尾議員
知事は、平成25年度の重点政策において、高成長を続けるアジアの成長力を取り込むために、新市場への輸出拡大を図るとしていますが、こうした市場に対し、本道が誇る安全・安心で高品質な道産農水産物の輸出促進について、庁内横断的な体制づくりを含め、どう取り組んでいくのか伺います。
高橋知事
道産農水産物の輸出促進についてでありますが、安全・安心で子品質な農水産物に恵まれた本道にとって、農水産物の輸出を促進することは、食産業立国の推進を図っていく上で、大変重要であると認識。
こうした中で、近年、海外における北海道ブランドの人気の高まりを受け、「ながいも」や「ホタテ」などに続き新たに農水産物の輸出に取り組みたいとの気運が道内各地でたかまってきている。
このため、道としては、庁内横断のワーキンググループを設け、関係各位の連携を強化するとともに、ジェトロ北海道と合同で、事例紹介や個別相談などを行う「チャレンジセミナー」の開催や、海外バイヤーを招いたマッチングを進めるほか、生産体制などの整備については、6次産業化ファンドなど国の支援策の活用を促すなど、事業者の取組段階に応じた、きめ細やかな支援を行い、道産農水産物の一層の輸出促進に取り組む考え。
 
(二)加工食品の輸出に際した規制について
 
梅尾議員
道ではこれまで、観光を含め北海道物産のトップセールスを、中国、韓国、台湾などで行ってきましたが、ハム・ベーコン、鹿肉などについては、複雑な規制や検疫条件があり、国によっては、輸出ができない、または困難な実態にあります。
このような状況を踏まえて、輸出に際してどのような規制等があるか早急に調査をし、その障害を取り除くことに全力をあげるべきと考えますが、お考えを伺います。
 
経済部長
畜産品等の輸出規制についてでありますが、アジアをはじめとした諸外国においては、口蹄疫や鳥インフルエンザの発生などに端を発した様々な輸入制限や複雑な検疫などの手続きが現在もとられており、本道からの輸出拡大の隘路になっていると承知。
道としては、日本貿易振興機構や各国の在日貿易支援機関などと連携し、輸出の阻害要因などについて実態を調査をするとともに、これら各国の規制や手続きへの対応方法について商社等の専門家からのアドバイスも加え、道内の生産者に対してきめ細やかな情報提供に努めるとともに、国の輸出振興施策も活用しながら、海外販路の開拓を支援してまいる。