令和3年第11回新幹線・総合交通体系対策特別委員会(令和3年8月4日) 北海道エアポートによる女満別空港の投資の後ろ倒しについて
2022.11.14
令和3年8月4日(水曜日)新幹線・総合交通体系対策特別委員会
北海道エアポートによる女満別空港の投資の後ろ倒しについて
(航空局長) 北海道エアポートによります女満別空港の投資の後ろ倒しにつきまして、お手元の資料2により御報告申し上げます。
まず、「1 趣旨」でございますが、道は、北海道エアポート株式会社、以下、HAPとさせていただきますが、こちらから申入れのありました女満別空港におけます、空港の活性化投資の後ろ倒しについて、他の管理者と連携して内容を確認し、7月30日付で承認をしたものでございます。
次に、「2 投資の後ろ倒しの考え方」でございますが、契約上、道は、HAPの空港運営事業におきまして、不可抗力による損害が発生し、履行困難となりました契約上の義務につきまして、HAPの申入れを受けて、必要な範囲で免責が可能となっております。
このうち、資金繰りの改善のための投資の後ろ倒しにつきましては、当該後ろ倒しが可能となりますよう、投資ごとに契約に定められた履行時期につきまして、免責をすることができるとされております。
次に、「3 申入れの内容」でございますが、HAPから、新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りの大幅な悪化により、契約に定められました時期での履行が困難な投資につきまして、道に対して、後ろ倒しの申入れがあったものでございます。
なお、道に対して申入れございました、女満別空港におけます主な空港活性化投資の内容と実施スケジュールは表のとおりとなってございます。
次に、「4 申入れの承認」でございますが、道は、HAPからの申入れに対しまして、他の管理者と連携し、(1)から(3)までの内容を確認の上、HAPの資金繰りを支援するため、申入れのとおり、履行義務の時期の免責を承認いたしました。
なお、女満別空港におけます中期計画、この2020年度から2024年度の間でございますが、この間の空港活性化投資の額、こちらは31億円でございますが、履行義務の時期の免責を承認いたしました空港活性化投資の額は、15億円となってございます。
確認した内容でございますが、(1)のとおり新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、不可抗力による損害発生の事実が認められたこと。
次に、(2)のとおり、不可抗力による損害発生によりまして、今後のHAPの資金繰りは大変厳しい状況が想定され、全ての投資を契約通りの時期に履行することが困難な事実が認められたこと。
続いて、(3)のとおり、アからウの投資につきましては、いずれも安全に関わるものではなく、需要の回復に時間を要する国際線に関連する施設であるなど、不要不急なものであることから、当該後ろ倒しには、合理的な理由が認められたこと。
これら以上を確認いたしまして、履行義務の時期の免責を承認したものでございます。
最後に、「5 承認の条件」でございますが、当該後ろ倒し後の履行時期につきましては、契約上の義務とはしないこととする代わりに、その承認に当たっては、4管理者で協議の上、HAPに対して、資料下部の囲みに記載の条件を付することといたしまして、需要の回復状況に応じまして、投資の前倒しやさらなる後ろ倒しにつきまして、柔軟に対応できることといたしました。
最後に、別添の参考資料を御覧ください。道内7空港における空港活性化投資の後ろ倒しについてでございますが、HAPから道も含めました4管理者に対して、空港活性化投資の後ろ倒しにつきまして申入れがございました。
4管理者は連携して、囲みにあります①から③の内容を確認し、申入れのとおり履行義務の時期の免責を承認、または承認する予定でございます。
なお、7空港全体の中期計画上の空港活性化投資の額は、623億円でございますが、後ろ倒し等を実施後の中期計画期間中の投資の額は、192億円となる見込みでございます。
また、当該後ろ倒し後の履行時期については、先ほど御説明しました女満別空港と同様に、契約上の義務とはしないこととする代わりに、その承認に当たっては、4管理者で協議の上、HAPに対して、資料下部の囲みに記載の条件を付することとし、需要の回復状況に応じ、投資の前倒しやさらなる後ろ倒しについて、柔軟に対応できることとしたところでございます。
なお、道内7空港で後ろ倒しをする主な空港活性化投資の内容や、後ろ倒しの理由、整備期間などにつきましては、次ページの表にまとめてございますので、後ほど御覧いただきたいと存じます。
(梅尾議員) 私は、先月の本委員会で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、厳しい経営環境に直面している北海道エアポートの現状や、支援等について質問をさせていただきました。
道からは、空港活性化投資の後ろ倒しについて、他の管理者とも連携しながら必要な確認を行いつつ、柔軟に対応していくとの答弁があったところであります。
こうした中、先ほど、道から、北海道エアポートによる女満別空港の投資の後ろ倒しを承認したとの報告をいただきましたが、後ろ倒しを承認するに至った経緯や今後の道の対応を中心に、数点お伺いをしてまいりたいと思います。
今回、承認した空港活性化投資の後ろ倒しというのは、具体的にどのような手続なのかお伺いをしたいと思います。
(航空課空港戦略担当課長) 空港活性化投資の後ろ倒しについてでございますが、道が北海道エアポートと締結している実施契約では、同社の空港運営事業において、今般の新型コロナウイルス感染症のような不可抗力による損害が発生し、履行困難となった契約上の義務がある場合には、同社の申入れに基づき、必要な範囲で免責をすることが可能としているところでございます。
このうち、資金繰りの改善のために、投資の後ろ倒しについて申入れがあった場合には、当該後ろ倒しが可能となるよう、契約に定められた履行時期について、投資ごとに免責をすることができることとしております。
(梅尾議員) 今、答弁の中で、投資の後ろ倒しというのは、新型コロナウイルス感染症のような損害が発生したことで、資金繰りを改善しようというような場合に、投資の後ろ倒しが可能となるよう、契約の履行時期について、免責する手続であることを伺いました。
そこで伺いますが、HAPから投資の後ろ倒しに係る申入れを受けて、道も含めた各管理者は、どのような確認を行い、申入れを承認することとしたのかお伺いをしたいと思います。
(航空課空港戦略担当課長) 投資の後ろ倒しの承認についてでございますが、今般の北海道エアポートからの申入れに対し、国、道、旭川市、帯広市の4管理者は、相互に連携しながら、新型コロナウイルス感染症という不可抗力による損害が発生していることに鑑み、資金繰りの観点から、全ての投資を契約どおりの時期に履行することが困難になっていることを確認したところです。
また、後ろ倒しが申し入れられた投資は、いずれも空港の安全に関わるものではなく、需要の回復に時間を要する国際線に関連する施設であるなど、不要不急なものであることから、後ろ倒しに合理的な理由が認められることを確認したところです。
こうした確認を経まして、各管理者は、北海道エアポートの資金繰りを支援するため、同社の申入れのとおり承認することとしたところでございます。
(梅尾議員) 後ろ倒しを申し入れられた投資は、国際線の関連施設であることなど、不要不急なものであることから、後ろ倒しに合理的な理由があるとして、申入れを承認した旨、今、お伺いいたしました。
そこで、今回お配りいただいた資料を拝見しますと女満別空港の場合は、遅いもので2035年の完了と10年以上先まで後ろ倒しをする予定になっています。
また、参考資料としてお配りいただいた新千歳空港を含む7空港の状況を見ると、おおむね5年程度の範囲内で後ろ倒しをするとのことです。
確かに資金繰りのためには、こうした投資の後ろ倒しはやむを得ないものと思いますが、新型コロナウイルスの影響が見通せない状況の中、今後、航空需要の回復があればむしろ積極的に投資をしていく必要があるでしょうし、さらに需要が下振れすれば、さらに投資を後ろ倒しする必要もあろうかと思います。
そこで、今後、様々な状況が考えられる中で、道はどのような対応が可能なのかをお伺いしたいと思います。
(航空局長) 投資の後ろ倒し後の対応についてでございますが、北海道エアポートからは、投資の後ろ倒しの申入れに併せまして、後ろ倒しをする投資のそれぞれについて、新たな履行時期の提示がありましたが、これらの新たな履行時期につきましては、4管理者で協議の上、契約上の義務とはしないことといたしました。
その代わりに、承認に当たっての条件といたしまして、空港運営事業期間中におけます確実な履行を求めるとともに、北海道エアポートに対しまして半期ごとに、投資の実施計画の提出や、進捗状況の報告を求めるほか、資金繰りの改善などにより、後ろ倒しされた投資の前倒しが可能なときは、資金繰りを妨げない範囲で、道から履行時期に係る協議を申入れできることとしたところでございまして、道といたしましては、航空需要の回復状況を踏まえながら、投資の実施時期などについて、柔軟に対応してまいりたいと考えております。
(梅尾議員) 新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、計画提出や進捗状況の報告などを受けて、現状をしっかりと把握しながら、投資の実施時期などについては、柔軟に対応するという考え方、そのことは理解できますし、ぜひ、他の管理者とともに密接に協議を行いながら、万全な対応をお願いしたいと思います。
とはいえ、今回の参考資料を拝見すると、空港活性化投資は7空港全体では当初5年で623億円の投資を行う予定であったものが、後ろ倒しによって192億円になっておりますから、400億円以上の後ろ倒しになります。
そうしますと、今回の投資の後ろ倒しにより、HAPが目指す航空ネットワークの充実や広域観光の振興にも、さすがに影響が出るのではないかと考えます。こうした懸念に対して、道はどのように考え、どのように対応するのかをお伺いします。
(航空局長) 投資の後ろ倒し後の影響についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、道内空港の国内線利用者は大幅に減少している上、国際線に至りましては全便運休の状況が続いている中、道といたしましては、今回後ろ倒しを承認した投資は、現時点の需要を踏まえた場合、不要不急なものであり、まずは、今回の後ろ倒しの承認により、北海道エアポートの当面の資金繰りを支援し、航空需要が回復するまでの同社の経営安定化につなげていくことが重要と考えております。
今後、航空需要が回復する際には、航空ネットワークの充実強化や、広域観光の振興の実現に向けまして、他の管理者とも連携しながら、必要に応じて、北海道エアポートに投資の前倒しを申し入れるなど、将来の航空需要に応じた投資が適切に行われますよう、対応してまいりたいと考えております。
(梅尾議員) 今回、後ろ倒しについて申入れのあった投資は、現時点での需要を考えた場合、不要不急なものであり、まずは後ろ倒しによって資金繰りを支援し、HAPの経営安定化につなげていくことが肝要であるとお伺いいたしました。
航空需要が回復していく際には、必要に応じて投資の前倒しを求めていくなど、将来に向けた投資が適切に行われるよう対応していくということでございました。ぜひ、航空ネットワークのより一層の充実や、北海道の広域観光の活性化につながるよう、そして、新型コロナウイルス感染症の拡大による悪影響を少しでも払拭するよう、広域自治体である北海道として、HAPとともに、しっかりとした対応をしていただければと思うところであります。
さて、今回の投資の後ろ倒しは、当面の資金繰りへの支援として、その規模からいっても有効な手だてだとは思いますが、今回の後ろ倒しにより、道はHAPへの支援が一息ついたと考えているのか、この点についてはどのように考え、どのように対応していくのかお伺いをします。
(総合政策部交通企画監) 北海道エアポートへのさらなる支援の必要性についてでありますが、これまで、道としては、空港施設の整備費用に対する無利子貸付けや、運営権対価分割金の支払い猶予の拡充など、国に対して必要な支援を要望してきたところでありますが、このたび、他の管理者と連携しながら、投資の後ろ倒しの承認により、同社の当面の資金繰りを支援することとしたところであります。
しかしながら、感染症の終息のめどがつかない中、北海道エアポートの収入等への影響も見通せない状況にありますことから、今後とも、金融機関など、関係者の動向を見極めながら、引き続き国に必要な支援を要望するとともに、地元自治体など、地域の関係者とも密接に連携しながら、まずは、国内線を中心に航空需要の回復に向けた取組を進めるなど、北海道エアポートの空港運営事業が円滑かつ安定的に遂行できるよう、対応してまいります。
(梅尾議員) まだまだ、新型コロナウイルス感染症の終息のめどはつかないことから、引き続き国への支援要請や、航空需要の回復に向けた取組を進めていくとの答弁をいただきました。
新型コロナウイルス感染症の終息は、御答弁にあったように、いまだ見通せない状況が続いており、さらに今月末まで、まん延防止等重点措置の適用が決定されるなど、航空需要の回復の道のりは依然として厳しく、関係者の厳しい状況は、痛いほど理解しております。
ただ、この苦しい時期をしのぐことができれば、航空需要が戻ってくると思いますし、かつてのにぎわいに戻ると確信しております。
ぜひ、HAPの空港運営事業が安定的に遂行できるよう、さらに民間委託の成果が北海道経済全体の活性化につながるよう、引き続き、道を含め空港管理者はもとより、地域、自治体、経済界など、関係者の皆様が連携してHAPを支えていっていただくよう、心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。