令和3年第10回新幹線・総合交通体系対策特別委員会(令和3年7月2日) 空港民間委託について

2022.11.14


令和3年7月2日(金曜日)新幹線・総合交通体系対策特別委員会
 
1. 空港民間委託について
 
(梅尾議員) 新型コロナウイルス感染症は、世界の航空需要に大きな影響を与えており、その終息の道筋はまだ見えておりません。
世界の航空会社は、運休や減便を余儀なくされ、一時は、ワクチンの普及に併せて、航空需要の持ち直しが期待されたところではありますが、相次ぐ変異株の登場により、需要回復への道筋は険しいと言わざるを得ません。
こうした厳しい状況下で、新千歳空港をはじめとする道内7空港の民間委託は、昨年1月にスタートし、6月には新千歳、10月には旭川、そして今年3月には残りの5空港においても滑走路等の運営が移行し、完全な形で運営が開始されたところであります。
本来、北海道エアポートによる道内7空港の民間委託は、本道の航空ネットワークの充実強化や広域観光の振興などにつながり、地域の活性化の切り札としても期待されていたわけでありますが、同社は、新型コロナウイルスの影響による厳しい経営環境に直面し、期待されるような成果を上げることが難しい状況となっております。
こうした中、一昨日に開催された株主総会を受けて、昨日には、261億円の当期純損失であるとか、投資を先送りするといった報道がなされているところであります。北海道エアポートが厳しい経営環境に直面していることは確かであろうと思います。
そこで、道内の空港民間委託について、数点お伺いをしてまいります。新千歳空港をはじめとする道内空港は、依然としてかつてのにぎわいには程遠い状態にあり、北海道エアポートの経営状況も大変厳しい状況にあるものと考えております。
公表された2021年3月期決算も巨額の損失が計上されておりますが、この点について、道はどのように認識しているのかお伺いしたいと思います。
 
(航空課空港戦略担当課長) 北海道エアポートの現状についてでございますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、道内7空港における2020年度の国内線の利用者は、対前年度比67%の減となる821万人となっています。
また、国際線の利用者は、2018年度が過去最高の410万人であったところ、2019年度は350万人、昨年3月下旬以降は、全便運休の状況が続いております。
こうした中、一昨日発表されました北海道エアポートの2021年3月期決算においては、空港ビル会社などを含めたグループ全体の最終的な損益は、約261億円の赤字となるなど、北海道エアポートは、大変厳しい経営状況にあると認識しております。
 
(梅尾議員) 2020年度の旅客需要は、2019年度の旅客需要に比べて大幅に落ち込んでおり、その影響により、北海道エアポートにおいては、2021年3月期決算で260億円以上の当期純損失を計上するなど、大変厳しい経営状況にあるとの認識を伺いました。
長引く新型コロナウイルスの影響を考えれば、当然の認識だとは思いますが、そこで次に、無利子融資についてお伺いをしたいと思います。
北海道エアポートが厳しい経営状況にあることから、株主総会前の今週月曜日以降、同社が100億円規模の無利子融資を国に申し入れているといった報道もあったところであります。
私の理解では、国の無利子融資は、滑走路の改修など、空港施設の整備費用に対するものと承知しておりますけれども、こうした国の無利子融資に関わる動きについて、道は詳細を把握しているのか、伺いたいと思います。
 
(航空課空港戦略担当課長) 国からの無利子融資についてでございますが、昨年12月、国は、航空・空港の関連企業に対する支援施策パッケージにおいて、滑走路の改修や灯火の更新等の空港施設の整備費用に対し、全国のコンセッション空港全体で、31億円の無利子貸付けを行う旨を明らかにしました。
道としては、この無利子貸付けについて、貸付け可能な整備の対象を拡充していただくよう、先月、国に対し、道内経済界と共同で要望したところでございます。
今後は、こうした要望を受けて、国と北海道エアポートの間で、無利子貸付けの対象となる整備の内容や具体的な規模について、調整を進めていくことになるものと承知しております。
 
(梅尾議員) ただいま、国の無利子融資の対象となる整備の内容や、具体的な規模感については、国と北海道エアポートとの間で、今後、事務的に詰めていくことになるとの答弁をいただいたわけであります。
そうした動きは、ぜひ、道としても積極的にフォローしていただきたいと思うわけでありまして、冒頭申し上げたとおり、北海道エアポートによる7空港の民間委託については、本道の航空ネットワークの充実強化や広域観光の振興などにつながり、地域の活性化の切り札とも言うべきものでありますし、ポストコロナにおいて、需要回復すれば、北海道エアポートはまさにそうした役割を担う存在であるところであります。
したがいまして、需要の回復期に同社にそうした役割を十分に担っていただけるよう、需要の激減している今にあっては、まず同社の経営が立ち行くように、国の無利子貸付けの活用もそうでありますが、そうしたものも含めて、資金繰りが円滑なものとなるよう、手厚く支援するなど、新型コロナウイルスの影響にも耐えられるよう、皆で支えていく必要があると考えるわけであります。そこで次にお伺いしたいと思いますが、北海道エアポートの支援について伺います。
本道の航空ネットワークの充実強化や広域観光振興の担い手として期待される北海道エアポートについては、新型コロナウイルスの影響下においても、その経営が立ち行くよう、しっかりと支援していくことが重要と考えますが、道として今後、どのような対応をされるのか、お伺いをしたいと思います。
 
(総合政策部交通企画監) 北海道エアポートへの支援についてでありますが、昨年12月、国は、航空・空港の関連企業に対する支援施策パッケージにおいて、空港活性化投資の後ろ倒しを柔軟に認めることで資金繰りを支援するほか、空港施設の整備費用に対する無利子貸付けや、運営権対価分割金の年度を越えた支払い猶予などの支援を明らかにしております。
道としては、北海道エアポートに対するさらなる支援のため、まずは、先月、国に対し、道内経済界と共同で、無利子貸付けや、運営権対価分割金の支払い猶予の拡充を要望したところであります。
また、一昨日開催されました北海道エアポートの株主総会においては、4管理者に対し、空港活性化投資の後ろ倒しに関する申入れを行うことが、承認されたと聞いております。
当該申入れに対し、同社の資金繰りを支援するため、他の管理者とも連携を密にしながら、必要な確認を行いつつ、柔軟に対応してまいるとともに、地元自治体など、地域の関係者とも密接に連携しながら、需要の回復に向けた取組などにより、しっかりと支えていく考えであります。
 
(梅尾議員) 先ほど答弁をいただいたように、無利子貸付けのほか、運営権対価分割金の猶予についても拡充するよう、国に対して要望した上、空港の活性化投資の後ろ倒し、非常に大事なことだと思いますが、これについても柔軟に認めることで、当面の資金繰りを支援したい、また、地域の関係者とも、需要の回復に向けた取組などでしっかりと支えたいと今、答弁をいただいたところであります。
北海道エアポートは、日本有数の旅客数を誇る新千歳空港をはじめとして、北海道の主要空港を網羅しており、ポストコロナの需要回復期には、必ずまた稼げるようになるでしょうし、それが道内経済の成長エンジンの一つになるものと確信をしております。
そのためには、今のこの苦しい時期をしのげるよう、道を含めた空港管理者や、地域、自治体、経済界の皆で支えていただくことを心からお願い申し上げて私の質問を終えたいと思います。