令和2年第14回総合政策委員会(令和2年11月4日)新型コロナウィルス感染症対策要綱について

2022.11.14

 
1. 北海道新型コロナウイルス感染症対策要綱(素案)について
 
(政策局長) 北海道新型コロナウイルス感染症対策要綱素案につきまして、御報告申し上げます。資料1-1を御覧ください。
「1.趣旨」についてでありますが、道では、本年9月に新型コロナウイルス感染症の一連の対応につきまして、検証の中間取りまとめを行い、今後の対応方向を示したところでございます。この対応方向を踏まえまして、今後のコロナ対策をより効果的かつ着実に進めるためには、道民や事業者の皆様の御理解と御協力を得ながら、市町村をはじめ関係者が一体となって取り組むことが必要であることから、対策の基本的な枠組みを示す要綱を策定するものでございます。
「2.要綱(素案)の概要」でありますが、「第1 目的」につきましては、ただいま、趣旨の報告をさせていただいたとおりでございます。
「第2 定義」につきましては、本要綱の対象は、特措法に規定する新型コロナウイルス感染症とし、本要綱における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、特措法に基づく対策本部の設置期間における道の対策と定義づけているところです。
次に、「第3 対策に関する基本的事項」についてでありますが、「1 総合的な対策の実施」といたしまして、感染症法及び特措法等関係法令や道の行動計画などに基づき、対策を総合的かつ効果的に実施するとともに、社会経済に及ぼす影響を十分に考慮し、感染拡大防止と社会経済活動の両面から対策を実施すること、「2 市町村等関係者との連携」といたしまして、国や市町村、関係団体、道民等と連携及び協力を図るほか、特に、市町村との情報共有に努め、相互に連携して対策を実施すること、「3 道民及び事業者の理解・協力」といたしまして、道民、事業者に対して、正しい知識等について、適時適切に情報発信し、理解と協力を得られるよう努めますとともに、新北海道スタイルの浸透、定着に向けた取組を促進することなど、「4 感染者情報の公表」といたしまして、国の公表基準を踏まえ、別に定める基準に基づき適切に実施することとし、公表に当たりましては、個人が特定されないよう十分配慮すること、「5 人権侵害の防止」として、感染症に関する差別や偏見、誹謗中傷など人権侵害を防ぐため、正しい知識の普及や、適切な情報提供、相談対応など、必要な対策を実施することを規定しているところでございます。
次に、「第4 対策の立案及び決定等に関する事項」でありますが、「1 北海道新型コロナウイルス感染症対策本部」といたしまして、対策の総合調整及び重要事項の決定は、この対策本部で行うこと、「2 警戒ステージの設定と運用」といたしまして、感染状況等に応じた対策を的確に講じるため、警戒ステージを設定し、その運用に当たりましては、全道域の取組を基本に、必要に応じて特定地域や業態を対象とするなど、柔軟に対応すること、行動等の制限につながる協力要請は、特措法に基づき実施するとともに、その制限は必要最小限とし、特に、施設の使用制限等に関する協力要請を行う場合には、事業者の皆様の御理解、御協力を得られるよう実効性の確保に努めること、「3 北海道新型コロナウイルス感染症対策有識者会議の設置」といたしまして、対策の立案等に当たり、必要な意見を聴取するため、有識者会議を設置すること、「4 外部意見等の聴取」といたしまして、対策の立案に当たり、必要に応じ、有識者会議や専門会議の意見並びに見解を聴取することとし、特に、警戒ステージの移行や、特措法第24条第9項等に基づく措置を行う場合は、事前に有識者会議等の意見等を聴取するとともに、市町村や関係団体等へ情報提供することを規定しているところです。
次に、「3.今後のスケジュール(想定)」についてでありますが、この要綱素案につきましては速やかにパブリックコメントを実施し、広く道民の皆様から意見を聴取するほか、市町村や関係団体に加え、現行の有識者会議の皆様からも御意見を伺いながら、11月下旬を目途に、要綱案を取りまとめ、第4回定例道議会の前日委員会において報告させていただく予定としているところです。
なお、資料1-2として要綱素案の本文を、また、資料1-3として、条文ごとに参考となる情報を整理しているので、後ほど御確認願います。
道といたしましては、現下の感染状況をしっかりと踏まえまして、感染拡大の防止と社会経済活動の両立に向け、実効性ある対策を進めていくこととしておりまして、委員の皆様には、今後とも、一層の御指導を賜るよう、お願い申し上げます。
 
(梅尾議員) 道が新たに定める新型コロナウイルス感染症対策の要綱素案について、ただいま説明がありましたが、この件に関し、数点伺います。
素案には、市町村等関係者との連携という項目の中で、感染状況や道が実施する対策等について市町村と情報共有に努め、連携して対策を実施する旨を盛り込むとのことですが、同じ市町村でも政令市である札幌市や千歳市といった保健所設置市とそれ以外の市町村とでは、対応がおのずと異なってくると考えるわけであります。
特に、保健所設置で多くの感染者が確認されている現状を踏まえると、相互に連携し対策を実施するといった、ごく一般的抽象的な表現だけではなく、感染が拡大する場合の具体的な応援、受援関係などを明確に整理をし、感染症対策に円滑、迅速に連携して対応できるよう要綱であらかじめ定めておく必要があると考えますが、まず見解を伺います。

(政策局参事) 保健所設置市との連携についてでございますが、新型コロナウイルス感染症対策は、その措置等を大別すると、感染情報の公表など、感染症法に基づき保健所を設置する自治体の長の権限におけるものと、道民や事業者への協力要請など、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、知事の権限において実施するものとがございますが、いずれにつきましても、新型コロナウイルス感染症対策の対処方針や感染症予防に関する基本的な指針、通知、マニュアルなどに沿って、必要な連携を図りながら、取り進められているところでございます。
とりわけ、感染症法に基づいて実施する積極的疫学調査や感染者の隔離等を行う際には、感染者の発生数やその拡大状況、個々の症状や発生場所などの事象に即した臨機応変な対応が求められますことから、関係法令等に基づき、迅速かつ実践的、効果的な連携を図っていくことが重要であり、要綱では、こうした具体的な対応を念頭に置きつつ、市町村との連携に関する基本的事項についてお示しするものと考えております。

(梅尾議員) 感染者情報の公開に関しては、個人が特定されないよう配慮する旨の記述がありますが、場合によっては、感染者が勤めている企業や店舗等の名称が特定され風評被害が生じることもあり得ます。そうした点も考慮し、要綱に盛り込んでおくことが必要であると考えますが、見解を伺います。

(政策局参事) 感染者情報の取扱いなどについてでございますが、道では、感染者情報の公表に際し、公表基準に基づき、感染者の職業について、勤務先等が特定されないよう抽象的な表現を用いるなど、企業や店舗の風評被害などへの対策を含め、個人情報の扱いには細心の注意を払っていくこととしております。
策定中の要綱素案におきましては、こうした点を含めて、個人が特定されないよう十分配慮する旨を記載しておりまして、引き続き、適切な情報の公表に努めてまいります。

(梅尾議員) 感染者情報の公開基準については、国の公表基準を踏まえつつ、別途定めるとしていますが、現在のように、日々感染者が確認されている状況を踏まえれば、一日も早い対応が求められます。感染者情報の公開基準はいつ頃制定されることとなるのか、伺います。

(政策局次長) 公表基準についてでございますが、感染者情報の公表に関しましては、都道府県ごとに異なる対応となっておりますことから、道では、国において、情報公開の在り方を整理の上、統一的な公表基準を定めるよう、全国知事会を通じ、国に働きかけているところでございます。
現在、国では、偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループの下で、感染者情報の公開の在り方などについて検討が進められておりまして、今月中にも、中間的な報告を行うとの見解を示しておりますことから、道といたしましては、こうした動向等も注視し、市町村とも必要な協議を重ねつつ、機を逸することなく、道としての対応を整理し、新たな公表基準を取りまとめてまいる考えでございます。

(梅尾議員) 公表基準については、国の見解を待つ対応となるわけですが、一例を示しますと残念ながら千歳市でも、今、感染拡大が見られ、クラスターも発生している状況の中で、石狩管内のくくりで、その中にも千歳市が含まれている、千歳市の名前が出てこないという、感染者数のカウントも一部見られまして、市民からはできれば市町村名までは公表してほしいという、随分私のところにもそのような依頼、要望が寄せられているところでありまして、これはあくまでも国の公表を待つわけですが、できれば石狩管内のくくりではなくて、市町村まで、他の府県でもやっておりますように、自治体レベルくらいまでの公表をすることによって市民の安心というか、感染拡大における危機管理の心構えといったものも醸成されるという観点から、ぜひとも検討のお願いをしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
要綱素案では、警戒ステージの運用に当たって、全道域での取組を基本としつつ、必要に応じて特定の地域や業態を対象とするなど柔軟に対応するとしておりますが、こうした考え方は、経済と感染拡大防止対策の両立を図る上で極めて重要な視点であると考えます。
要綱が実際にスタートするのは今の予定では、市町村や有識者会議から意見聴取やパブリックコメントの手続を経て11月下旬以降になりますが、最近の感染拡大の勢いを考えれば、この要綱の制定を待つことなく、ここに掲げられているような特定の地域や業態を限定した対策を直ちに実施する段階にあると考えます。
こうしたターゲットを絞った対策をタイムリーに実施することによって、過度な行動自粛が全道に広がることを避けることができ、経済へのダメージも最小限にとどめることができると考えます。
道は、警戒ステージの運用に当たり地域や業態を限定した対策の実施に積極的に取り組む考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。

(政策局次長) 警戒ステージについてでございますが、警戒ステージの運用に当たりましては、感染はどこでも起こり得る可能性がありますことから、全道域での取組を基本としつつ、必要に応じて特定の地域や業態を対象とした施策を講じるなど適切な対応を検討することとしております。
このたびの集中対策期間におきましては、各地域で集団感染が発生するとともに、リンクなしの新規感染が一定数確認されるなど全道域で感染の広がりが見られるといった感染者の発生状況を踏まえまして、全ての道民の皆様に対して、体調が悪い場合の外出自粛や感染リスクを回避する行動の実践など、特措法に基づく協力要請を行うとともに、札幌市内における対策の徹底に取り組んでいるところでございます。
こうした中、現下の感染状況は厳しさを増しておりまして、道といたしましては、今後の感染動向を慎重に見極めながら、必要な場合には、特に感染者の多い札幌市と連携して、特定の地域や業態を対象とした施策も検討するなど、感染拡大の抑え込みに向け、強い警戒感を持って取り組んでまいります。

(梅尾議員) 結局、どちらが先とは言いませんけれども、やはり北海道知事や札幌市長がすぐにでも席について、このような対応を、多くの感染者を出している地域の長として、その責任を果たしていただくように心から願うところであります。
協力要請の実効性確保についてでありますが、道が民間の商業施設や劇場など使用制限等を実現する手だては、今のところ事業者の理解と協力に頼らざるを得ないわけであります。
事業者は、使用制限等に協力することによって、一定の経済的な損失を被る可能性が高く、実際にそのような制限等の要請に協力していただくためには、そうした要請の実効性を担保する方策が必要になります。
素案では、事業者の理解と協力が得られるよう実効性の確保に努めるといった抽象的な表現にとどまっており、具体的にはどのような方策が取られるのか明確ではありません。こうした点をあらかじめ明らかにしておかなければ、いざとなったとき要請を受入れ、協力いただくことは、容易でないと考えるわけであります。
道は、具体的にどのような方法で実効性を確保する考えなのかお伺いをいたします。

(政策局長) 施設の使用制限等に関する協力要請についてでありますが、道では、感染状況等に応じた警戒ステージを設定し、道民や事業者の皆様と現状の認識を共有しながら、取組を進めているところでありまして、それぞれの段階におきまして、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図ることを基本に、必要な対策を講じていくこととしております。
こうした中、休業要請を検討せざるを得ない状況に至った場合には、感染状況や医療提供体制への負荷の状況を踏まえますとともに、社会経済への影響も十分考慮し、要請の対象となる地域や業態について検討を行いますほか、感染症対策として効果的な休業要請となるよう、支援策の検討も含め適切な対応を行ってまいります。

(梅尾議員) 要綱素案の定義によれば、新型コロナウイルス感染症対策は、特措法に基づく道の対策本部の設置期間における道の対策とされております。仮に対策本部が廃止となれば、自動的に新型コロナウイルス感染症対策も行われないことになるわけでありまして、そしてこの要綱も廃止になります、ということになるのか、それとも、道の対策本部が廃止となってもこの要綱は廃止されず、要綱に基づいて引き続き新型コロナウイルス感染症に関する対策を実施することになるのか、その辺りの関係を明確にしておく必要があると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

(政策局長) 要綱の適用期間などについてでございますが、本要綱は、厳しい感染状況が続きます新型コロナウイルス感染症への的確で迅速な対応を図ることを目的に策定するものであり、そのために講じる対策につきましては、特措法に基づき総合調整を担う道の対策本部の役割などに鑑み、対策本部が設置されている期間における対策との定義づけを行ったものでございます。
特措法では、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の病状の程度が、季節性インフルエンザと比較しておおむね同程度以下であることが明らかになった場合や、国民の大部分が免疫を獲得したこと等により、季節性インフルエンザ以上に強力な措置を講ずる必要がなくなった場合などに、政府本部が廃止され、道の対策本部も直ちに廃止となりますが、それ以降につきましては、この要綱に代わり、感染症法をはじめとした関係法令や道の行動計画等に基づき、必要な対策を着実に実施してまいる考えでございます。

(梅尾議員) 道が進める新型コロナウイルス感染症対策が実効性を伴ったものとなるかは、要綱の運用状況を見極めなければなりませんが、こうした要綱という形での取組では、十分な効果が得られないとすれば、より強力な対策も検討せざるを得ないと考えます。
その際には、条例による義務づけといった方法も排除せず、あらゆる対策を検討する必要があると考えますが、感染拡大の勢いが衰えを見せない状況の中で、道は今後どのように対応していく考えなのか最後にお伺いしたいと思います。

(総合政策部長) 新型コロナウイルス感染症対策に関しまして、今後の対応についてでありますが、国内外はもとより、道内においても新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いている中、これまで以上に、道民や事業者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、関係者が一体となった対策を進め、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていくことが重要と考えております。
道といたしましては、こうした考えの下、市町村との連携や道民の皆様への適切な情報提供、差別、偏見など人権侵害の防止、さらには、警戒ステージの運用や専門家の方々からの意見聴取の在り方など、コロナ対策の基本的な枠組みを示す要綱に基づき、広く道民や事業者の皆様と共有しながら、まずは、現下の状況に迅速で的確かつ効果的に対応していけるよう、様々な施策を講じていく考えであります。
条例化につきましては、要綱に基づく取組の実施状況や関係法令の動向等を踏まえながら、検討を行ってまいる考えであります。