平成29年第1回定例会・予算特別委員会(3月16日)
2018.05.12 11:00:00
第1回定例会・予算特別委員会第1分科会(3月16日)
1 国際航空貨物の輸出拡大について
・現在の国際航空貨物の受け入れ体制に対する道の認識
・民間委託における航空貨物の位置づけ
・新たな貨物増加の可能性に対する所見
・国際航空貨物の機能強化に向けた実証事業の結果と評価
・取り扱い貨物の品質向上に対する見解
・共同上屋の狭隘化に対する見解及び受け入れ能力強化の課題解決に向けた取り組み方針
・道が主導的に国際航空貨物の増加に向けた取り組みを行うことへの見解
2 新千歳空港の24時間運用について
・公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団による住宅防音対策工事の進捗状況及び地
域住民からの工事希望数と工事実績件数
・住宅防音対策工事が進まない理由
・財団の事業実施体制
・住宅防音対策に係る道と財団との連携に対する所見
・地域住民及び住宅防音工事事業者のニーズの把握方法
・来年度以降の住宅防音工事の進め方等について
(梅尾委員)
それでは、通告に従いまして、順次質問してまいりたいというふうに思います。
まず、国際航空貨物の輸出拡大についてであります。
道産品の一層の輸出拡大に向けては、輸送に適した高付加価値な品目など、国際航空貨物への期待は大きいものがあります。
昨年は、道全体の輸出量としてはやや伸び悩んだものの、航空貨物については、ホタテの減産を他の産品がある程度補い、5900トンの輸出となりました。今後、ホタテの生産が回復することにより、一層の伸びが見込まれるものと考えられますが、さらなる輸出量の拡大に向け、どのように備えていくかが今後の課題と考えるわけであります。
その際、新千歳空港で国際航空貨物を取り扱い、道も出資を行っている札幌国際エアカーゴターミナル、いわゆるSIACTが担う役割も大きいものと考えますが、以下、現状への道の認識と今後の取り組みについて伺ってまいります。
まず、1点目でありますが、国際航空貨物の受け入れ施設についてであります。
道は、北海道食の輸出拡大戦略で、アジア等の成長活力を取り込むことにより、平成30年までに道産品輸出額1000億円の達成を目指し、これを一つの通過点にして、平成37年度末には1500億円を目標に取り組んでいくとしております。
今の施設の容量など、受け入れ体制が十分ではないと考えますが、道の認識を伺いたいと思います。
(航空局長)
国際航空貨物の受け入れ施設についてでありますが、アジアとの国際航空ネットワークが急速に充実する中、さまざまな国や都市に道産品を直接届けることが可能となってきておりますことから、新たな市場も開拓されてきており、道産品輸出額1000億円の達成に向けまして、国際航空貨物の輸出拡大は、その重要度を増しているとともに、今後の成長が期待できる分野と認識いたしております。
このため、道といたしましては、国際航空貨物の受け入れ体制につきまして、さらなる取扱量の拡大を見据え、どのような対策が有効であるかなど、SIACTを初めとする関係者の皆様と、施設における現状の課題等を踏まえた検討を深めていく必要があると考えているところであります。
以上であります。
(梅尾委員)
次に、空港運営の民間委託における航空貨物の位置づけについてお伺いしたいと思います。
今後の新千歳空港の運営については、2020年をめどに民間委託を行うこととして、手続が進められているところであります。
新千歳空港の重要な役割である航空貨物の今後の拡充について、民間委託の流れの中で、掲げている目標も含め、どのように位置づけているのか、お伺いしたいと思います。
(空港運営戦略推進室参事)
民間委託における航空貨物の位置づけについてでございますが、昨年12月に策定した北海道発の提案においては、海外の成長力を取り込みつつ本道の発展を図るため、空港運営の民間委託を通じて、人流、物流の拡大を図ることが重要であることから、一括民間委託の大きな目的の一つに、航空貨物取扱量の増を位置づけるとともに、関係者が共有すべき目標の一つとして、貨物取扱量を設定したところでございます。
具体的には、国際貨物の年間取扱量について、2015年度実績の約2倍となる2万トンを2030年度に目指すとともに、将来的には、国内貨物と国際貨物の合計で年間30万トンを目指すとしているところでございます。
(梅尾委員)
次に、新たな輸出品目の可能性についてお伺いをいたします。
これまでの機能強化の取り組みについて伺います。
まず、道が昨年に委託調査を行った道内空港国際航空貨物輸出促進調査についてでありますが、報告によれば、今後、輸出をふやしていくには、水産物のみならず、品目の多様化が必要という報告がありました。確かに、現状では水産物の取り扱いが過半を占めており、貨物を安定的にふやしていく上では重要な取り組みと考えております。
新たな貨物の増加の可能性をどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
(航空課長)
新たな輸出品目の増加の可能性についてでありますが、ホタテなどの水産品の取り扱いが減少する一方で、最近では、スイーツなどの加工食品の輸出がふえている状況にあり、また、道内空港国際航空貨物輸出促進調査において、東南アジアでのニーズを現地ヒアリングしたところ、水産品のみならず、メロン、トウモロコシ、チーズ、ヨーグルトといった道産品にも関心が高いことがわかったところでございます。
道産品の輸出については、各航空会社にも強い関心や期待を持っていただいており、輸出品目の多様化に向け、庁内の関係各部とも連携して取り組んでまいります。
以上です。
(梅尾委員)
そこで、国際航空貨物機能の強化に向けた取り組みについて伺います。
SIACTにおいては、昨年の秋から冬にかけて、冷凍・冷蔵庫の増強や貨物取扱時間の延長といった実証事業を行ったと承知しております。
機能強化に向けた取り組みの一環と理解しておりますが、その結果をどのように評価しているのか、お伺いをしたいと思います。
(航空課長)
実証事業の評価についてでありますが、SIACTが実施した実証事業のうち、営業時間の拡大に関する取り組みでは、昨年12月の繁忙期において、7時から8時の早朝の時間帯にホタテの荷おろしが3件あり、また、運送事業者に対するアンケート調査の結果も踏まえると、早朝の時間帯での荷おろしのニーズを一定程度把握できたと承知しております。
また、冷凍庫、冷蔵庫の拡充による高鮮度保持機能の整備につきましては、高鮮度での保持管理の向上や、容量の拡張による保管機能の向上などが図られたほか、冷凍・冷蔵品目の取扱利用がふえたと伺っており、今後の国際航空貨物の機能強化に向けて、一定の成果があったと受けとめております。
以上でございます。
(梅尾委員)
次に、取扱貨物の品質管理についてお伺いをしたいと思います。
今後、貨物をふやしていくためには、品質の確保も重要な論点と考えます。例えば、現在、主力となっている生鮮品の輸送においては、手狭と言われていた冷凍・冷蔵庫のさらなる増強も必要ではないかと考えるわけであります。
貨物の取り扱い時の品質管理の向上に向けた議論も必要と考えますが、道の見解をお伺いいたします。
(航空課長)
取扱貨物の品質管理の向上についてでありますが、生鮮品が多い本道の国際航空貨物においては、特に温度管理が重視される傾向にあり、関係者も取り扱いに細心の注意を払っているところでございます。
冷凍庫、冷蔵庫などの設備につきましては、実証事業を通じて、一定程度、改善が図られたところでございますが、一方で、冷凍庫につきましては、予想を上回る高い稼働率となっているとも伺っており、潜在的なニーズが顕在化してきているというふうに承知しております。
SIACTにおける業務執行体制も含めまして、より効率的な運用による品質管理の向上を図ることは重要であり、今後、関係者と検討を深めてまいる考えでございます。
以上でございます。
(梅尾委員)
品質管理の向上が重要という論点は非常に大事なことであろうかと私は思うわけであります。
今の共同上屋の状況を見ますと、冷凍・冷蔵庫を増強してはおりますけれども、冷凍庫については、パレットを5枚入れれば、すぐいっぱいになってしまう、そんな狭隘な冷凍庫しかありません。
冷蔵庫についても、一応、フォークリフトは入るようになりましたけれども、私が現地に行って拝見したところ、まだ2倍、3倍の冷蔵庫が要るように思いました。
いずれにしても、預かったホタテが特にいい例になるかと思いますけれども、品質をきちっと保持して、目的地に輸出することが求められます。SIACTの管理体制がしっかりしていなくて、現地で品質が落ちてしまい、他国から、新千歳空港経由の輸出はだめだというレッテルを張られるような品質管理であれば、どうしようもないわけであります。
この辺の管理体制については、そういった視点を十分持って、しっかりとした施設づくりをすることが、他国から信頼されることにつながっていくと私は思うものですから、SIACTと十分な協議をする中で、将来に向かって、施設の整備と充実を図っていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
次に、共同上屋の狭隘化についてお伺いをしたいというふうに思います。
SIACTは、現在、共同上屋として、航空会社や物流事業者などの各社が共同で使用する運営形態となっております。
このため、航空貨物の搬入、搬出に加え、一部、トランジットの航空貨物の保管もあわせて行っており、手狭となりやすいということが考えられるわけでありますけれども、道の見解をお伺いしたいと思います。
(航空課長)
共同上屋のスペースについてでありますが、上屋は、創設当初から、運営を行うSIACTに加え、物流事業者や航空会社などの関係者が一つの施設を共同で利用する運営形態をとってきております。
このため、多くの輸入貨物が到着した際には、道内各地に貨物を搬送する事業者の都合により、貨物の搬入・搬出作業以外に、一時保管のためのスペースが一定程度必要になっている状況と承知をしております。
また、御指摘の新千歳空港を経由するトランジットの航空貨物を保管するケースもあるというふうに承知しております。
共同上屋のスペースにつきましては、限られた容量をどのように効率的に運用するかといった点も含め、SIACTの実証事業も踏まえながら、関係者による運営方法全体の見直しの中で検討されるべきと考えております。
以上でございます。
(梅尾委員)
私から言うまでもないのですが、現状では、約1万トン前後の貨物がこの共同上屋を使っています。本来であれば、輸出上屋、輸入上屋、それから、航空会社とか物流事業者の事務系の上屋、そういった上屋がきちっと分けられていて、輸出、輸入の品物の整理、その他、関税の手続等々をやるのが上屋のあり方ではないかと、私は他の空港の施設を見てきて感じておるわけであります。
共同上屋の狭隘化については、よくこれで事故を起こさないなという時間帯もありまして、これから道産品輸出額1500億円を目指すという力強い北海道の目標に向かっては、到底――今の共同上屋では1万トン程度しかさばけません。ましてや、トランジットの一時保管の荷物もどんどんふえてきています。
こういう状況ですので、個人的な意見ですけれども、私は、SIACTの施設体制を抜本的に改善していかなければならないと思っていまして、今の目標を達成するためには、この共同上屋では到底だめだなと感じるぐらい狭隘です。
それから、搬入、搬出の動線、つまり、入ってきて、おろして、荷さばきをして、出ていくといった動線も、今の構内では十分ではないと思っています。そういった、トラックによる搬入、搬出も非常に手狭になっているという状況も含めて、狭隘化をいかに早く解消するかが大事だと思っています。これもまた、SIACTとしての考え方があると思いますから、十分協議するよう、お願いをしたいというふうに思います。
次に、受け入れ能力の強化に向けた取り組みについてですが、SIACTの受け入れ能力の強化は喫緊の課題であると考えるわけでありまして、今後、この課題の解決に向けて、どのようなスケジュール感で取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
(航空局長)
SIACTの受け入れ能力の強化についてでありますが、新千歳空港を活用した輸出及び輸入の取扱量は、5年前の約2倍程度と、近年、急激に増加し、この3年間は、総量が1万トン弱の水準で推移しております。
取扱貨物の内訳では、輸出はやや減少傾向にあるものの、輸入は安定して増加しており、取扱品目の多様化や生鮮品の増加など、 従来とは、受け入れ施設に求められる機能が変化してきていると認識いたしております。
また、今後、さらなる取扱量の増加を目指していくためには、受け入れ能力の強化を含め、さまざまな課題があると認識しており、こうした状況の変化も踏まえ、SIACTを初め、関係者の皆様と、課題の解決に向けた検討を加速化してまいる考えであります。
以上です。
(梅尾委員)
最後に局長が言われたように、検討を加速化するということが今本当に求められていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
最後ですが、道の主導的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。
道が掲げている道産品輸出額1000億円の目標の達成には、今後、金額的に2割弱を占める航空貨物の増加に主体的に取り組んでいくことが重要であると考えます。
道は、SIACTの筆頭株主として、国際航空貨物の増加に向け、SIACTの機能強化に主導的に取り組むべきと考えておりますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
(総合政策部交通企画監)
SIACTの機能強化の取り組みについてでございますが、輸出量の拡大に向けて、道といたしましても、道産品輸出額1000億円の目標を掲げておりまして、また、人の交流はもとより、航空物流の拡大は路線の安定的な維持にも資することから、国際航空貨物の受け入れ体制の整備は、今後の本道の発展にとって大変重要と認識をしてございます。
道といたしましては、今年度、道内空港国際航空貨物輸出促進調査事業を通じ、ソフト面、ハード面でのさまざまな改善点を整理したところでございまして、その中心的な役割を担うSIACTの、先ほど御指摘もありました品質管理あるいは上屋などの機能強化に向けましては、現在、SIACT社内において検討が進められておりますけれども、道といたしましても、他の株主や関係者との調整、連携に主導的に取り組んでいくなど、積極的に役割を果たしてまいる考えでございます。
(梅尾委員)
ぜひよろしくお願いをいたします。
次に、新千歳空港の24時間運用についてお伺いをしたいと思います。
新千歳空港の24時間運用に係る深夜・早朝時間帯の発着枠については、平成28年8月までに、千歳市、苫小牧市の地域住民の合意を得て、6枠から30枠に拡大し、昨年から本格的な運用が開始され、今年の夏ダイヤにおいては、1日で最大14枠が使われるなど、順調に利用が進んでいるものと承知をしております。
一方で、地域との約束である、枠拡大に伴う住宅防音対策についても、公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団において、昨年から本格的に実施されているものと承知をしておりますが、住民の安全、安心な暮らしを確保する上で、住宅防音対策は極めて重要であり、適切かつ速やかに工事が進められる必要があると考えるわけであります。
そこで、現在進められている住宅防音対策の実施状況や今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
まず、住宅防音対策の進捗状況について伺います。
昨年7月の千歳市地域協議会では、8月から本格的に住宅防音工事を実施すると説明がありましたが、現時点において、工事の進捗状況はどのようになっているのか、また、地域住民からは具体的にどの程度の工事希望があり、工事実績は何件であるのか、お伺いをいたします。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
住宅防音対策についてでありますが、新千歳空港の深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大に伴い、公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団を実施主体として、今年度から、本格的な住宅防音工事の助成事業を開始したところでございます。
地域住民の皆様に対して、昨年3月に、工事の実施時期などについて意向調査を行い、今年度中の工事を希望する世帯の中から、騒音の影響の大きい地域や、障がい者、高齢者などが居住する345件を優先することとし、現地調査を実施した上で、昨年8月に、工事の助成申請が可能な住宅である旨の通知をしたところでございます。
それらの世帯のうち、本年2月末現在で、財団に対して246件の防音工事助成申込書の提出があり、その全てに内定通知を送付いたしましたが、助成交付申請の提出があったのは90件、実際に工事を行ったのは67件となってございます。
以上でございます。
(梅尾委員)
そこで、工事が進んでいない理由について伺いたいと思うのです。
財団が助成を内定した246件に対し、今年度の工事実績は67件という答弁でありましたが、これでは、地域住民の工事希望に十分応えたとは到底言いがたい結果となっております。どのような理由で工事が進まなかったのか、お伺いをしたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
住宅防音工事についてでありますが、このたびの発着枠拡大に伴う住宅防音対策につきましては、防衛省基準に準拠した基本工事のほか、寝室対策である補完工事や、千歳市においては基金を活用した工事の実施も可能とするなど、制度の内容が多岐にわたっているところであります。
また、今年度が本格的な防音工事の初年度ということもございまして、制度の内容について、地域住民の皆様や工事の設計施工に係る事業者に十分に理解いただけず、事業者の選定や設計業務に相当の期間を要してしまったことなどから、施工時期が冬期にかかってしまい、地域住民の皆様が当該時期の工事を延期したことなどが、工事が進まなかった要因と考えております。
以上でございます。
(梅尾委員)
この工事が進まなかった理由はいろいろありますけれども、関連がありますので、次の事項をお聞きしたいと思います。
次に、財団の事業実施体制についてであります。
工事が順調に進まなかった理由の一つとして、住宅防音工事に係る制度への地域住民や関係事業者などの理解が十分ではなかったとのことでありましたが、道や財団から地域住民などに対する説明が不足していたということではないのでしょうか。
平成27年の4定において、制度の複雑さから、専門的な知識を備えた人員の配置など、財団の実施体制の充実強化を指摘してまいりましたけれども、現在、財団はどのような体制で対応しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
事業の実施体制などについてでありますが、住宅防音対策の内容につきましては、道と財団におきまして、昨年1月から3月にかけて、地域住民の皆様を対象としました説明会を開催したほか、事業者に対しては、昨年5月から本年3月にかけて、合計8回の技術講習会を開催するなど、関係者の方々の制度への理解を深めていただくよう努めてきたところでございます。
加えまして、財団におきましては、昨年度までの5名の人員体制を見直し、今年度からは、地域住民の皆様や事業者からの相談に適切に対応できるよう、建築の技術職の2名を含め、4名を増員し、合計9名として体制を拡充強化したところでございます。
(梅尾委員)
住宅防音対策の基本的な制度設計は道の役割と思うわけでありますが、地域住民や関係事業者への窓口として直接対応するのは財団であります。
財団が制度を熟知した上で、適切に運用していくためには、道と財団が連携を密にし、意思疎通を徹底していく必要があると思います。今後、どのように対応していくのか、お考えを伺いたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当局長)
財団と連携した取り組みについてでございますが、道におきましては、事業の実施に必要な要綱や仕様書の作成、予算の確保、国を初めとする関係機関との調整などを行い、財団におきましては、当該要綱や仕様書を踏まえて、住宅防音工事の助成事業に係る手 続、地域住民の皆様や事業者からの専門的な問い合わせ、相談への対応などを行っているところでございます。
このような役割分担のもと、本事業を円滑に推進する上では、道と財団の間で十分な意思疎通を図り、制度の運用や解釈を双方が共有、理解し、計画的な工事の実施に的確に対応していくことが重要と認識してございます。
このため、今年度の課題や問題点を検証しまして、道と財団の間で、施工現場における仕様や運用の改善点などについての情報交換を積極的に行うとともに、個別の協議事案についても速やかに対応ができるような仕組みをつくるなど、これまで以上に連携を密にして取り組んでまいる考えでございます。
(梅尾委員)
今御説明があった点が非常に大事だというふうに私は思っております。
この事業は、民生安定のための事業でありまして、現地にいる財団の職員の方々も、住民や事業者への対応など、本当に一生懸命やられているのです。今答弁にありましたように、財団と道が今まで以上に連携を密にしていただくことが工事件数の増につながりますし、皆さんの御苦労が報われることにもなろうかと思っておりますので、本当に風通しのいい体制、そして、苦労が報われるような体制にしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
次に、地域住民や事業者との関係についてお伺いをいたします。
年間で六、七十件程度の工事実績では、この先、対象区域の工事完了まで何年かかるか、わからないわけであります。今後、住宅防音工事を円滑に進めていくためには、地域住民や事業者の声をよく聞いて、信頼関係を構築し、理解、協力を得ながら取り組んでいく必要があると考えます。
地域住民などのニーズをどのように把握していくのか、お伺いをしたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当局長)
地域住民の皆様との関係などについてでございますが、道におきましては、これまでも、地域協議会の場などにおいて、住宅防音対策に係る御要望などをお聞きし、できる限り制度に反映されるよう努めてきたところでありますが、制度の内容が多岐にわたることなどから、地域住民の皆様や事業者に十分な理解がなされなかったものと考えているところでございます。
また、今年度の事業の進捗状況を踏まえますと、工事内容や時期などに係る住民の皆様からの御要望を直接お聞きし、助成手続を代行するのは事業者でありますことから、事業執行上の課題に対する事業者の意見、要望を的確に把握し、その負担を軽減することが重要であったと考えているところでございます。
このため、今後は、財団と連携しまして、制度の内容をわかりやすくまとめたパンフレットの作成、配付や、住民説明会を開催するとともに、事業者を対象とした技術講習会に加えて、個別相談会を実施するなど、相談体制を充実し、地域住民はもとより、事業者などのニーズも的確に把握してまいる考えでございます。
(梅尾委員)
先ほどお話ししたように、このままいけば何年かかるか、20年なのか25年なのか、わからない状況なのです。
高齢者などが居住する住宅を優先しているのですが、皆さんは御存じないと思いますけれども、昨年1年間で、この対象者で亡くなった方が3名もいらっしゃるのです。それだけ高齢化している地域であるという認識に立って、そういったことが起きないような 早い対応をとることが望まれますので、体制を強化して、今後もしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、今後の進め方についてでありますが、住宅防音工事については、地域住民の安心、安全を確保するために、できるだけ速やかに進めていくことが求められております。
このため、道と財団の密接な連携のもと、地域住民の希望に沿うよう、事業者とも情報共有を図り、協力しながら、きめ細かに対応していくことが必要と考えます。
今年度の反省を踏まえ、来年度以降、どのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
(総合政策部交通企画監)
住宅防音対策の今後の進め方についてでございますが、新千歳空港の24時間運用に係る深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大に伴い、 道が地域住民の皆様とお約束をした住宅防音対策につきましては、地元の千歳市、苫小牧市及び新千歳空港周辺環境整備財団と常に 情報共有を図りながら、密接な連携のもと、実施していかなければならないものと認識をしてございます。
本事業を円滑に進めていくためには、地域住民の皆様はもとより、設計施工事業者の理解、協力が大切であり、また、事業の窓口となる財団がこれまで以上に地域から信頼されるよう、道がしっかりとバックアップをしていくことが重要と考えてございます。
このため、新年度におきましては、道も、必要に応じて、財団が行う、工事の事前準備のための各戸訪問に同行するほか、道と財団の共催で、地域住民の皆様や事業者との意見交換会、個別相談の場を設けるなど、連携強化を図るとともに、関係者間で事業執行上の課題を共有するなど、財団との十分な協力のもと、事業を進めてまいる考えでございます。
(梅尾委員)
繁忙期には、今の財団の人員では決して十分でないと私は思いますけれども、それを増強するにはいろいろな課題があることも知っております。
そのために、答弁がありましたように、道の職員の応援体制が大切でありまして、財団任せという言葉はちょっと適当ではないかもしれませんけれども、道の職員も財団と一緒になって地域対応をしっかりやっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
1 国際航空貨物の輸出拡大について
・現在の国際航空貨物の受け入れ体制に対する道の認識
・民間委託における航空貨物の位置づけ
・新たな貨物増加の可能性に対する所見
・国際航空貨物の機能強化に向けた実証事業の結果と評価
・取り扱い貨物の品質向上に対する見解
・共同上屋の狭隘化に対する見解及び受け入れ能力強化の課題解決に向けた取り組み方針
・道が主導的に国際航空貨物の増加に向けた取り組みを行うことへの見解
2 新千歳空港の24時間運用について
・公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団による住宅防音対策工事の進捗状況及び地
域住民からの工事希望数と工事実績件数
・住宅防音対策工事が進まない理由
・財団の事業実施体制
・住宅防音対策に係る道と財団との連携に対する所見
・地域住民及び住宅防音工事事業者のニーズの把握方法
・来年度以降の住宅防音工事の進め方等について
(梅尾委員)
それでは、通告に従いまして、順次質問してまいりたいというふうに思います。
まず、国際航空貨物の輸出拡大についてであります。
道産品の一層の輸出拡大に向けては、輸送に適した高付加価値な品目など、国際航空貨物への期待は大きいものがあります。
昨年は、道全体の輸出量としてはやや伸び悩んだものの、航空貨物については、ホタテの減産を他の産品がある程度補い、5900トンの輸出となりました。今後、ホタテの生産が回復することにより、一層の伸びが見込まれるものと考えられますが、さらなる輸出量の拡大に向け、どのように備えていくかが今後の課題と考えるわけであります。
その際、新千歳空港で国際航空貨物を取り扱い、道も出資を行っている札幌国際エアカーゴターミナル、いわゆるSIACTが担う役割も大きいものと考えますが、以下、現状への道の認識と今後の取り組みについて伺ってまいります。
まず、1点目でありますが、国際航空貨物の受け入れ施設についてであります。
道は、北海道食の輸出拡大戦略で、アジア等の成長活力を取り込むことにより、平成30年までに道産品輸出額1000億円の達成を目指し、これを一つの通過点にして、平成37年度末には1500億円を目標に取り組んでいくとしております。
今の施設の容量など、受け入れ体制が十分ではないと考えますが、道の認識を伺いたいと思います。
(航空局長)
国際航空貨物の受け入れ施設についてでありますが、アジアとの国際航空ネットワークが急速に充実する中、さまざまな国や都市に道産品を直接届けることが可能となってきておりますことから、新たな市場も開拓されてきており、道産品輸出額1000億円の達成に向けまして、国際航空貨物の輸出拡大は、その重要度を増しているとともに、今後の成長が期待できる分野と認識いたしております。
このため、道といたしましては、国際航空貨物の受け入れ体制につきまして、さらなる取扱量の拡大を見据え、どのような対策が有効であるかなど、SIACTを初めとする関係者の皆様と、施設における現状の課題等を踏まえた検討を深めていく必要があると考えているところであります。
以上であります。
(梅尾委員)
次に、空港運営の民間委託における航空貨物の位置づけについてお伺いしたいと思います。
今後の新千歳空港の運営については、2020年をめどに民間委託を行うこととして、手続が進められているところであります。
新千歳空港の重要な役割である航空貨物の今後の拡充について、民間委託の流れの中で、掲げている目標も含め、どのように位置づけているのか、お伺いしたいと思います。
(空港運営戦略推進室参事)
民間委託における航空貨物の位置づけについてでございますが、昨年12月に策定した北海道発の提案においては、海外の成長力を取り込みつつ本道の発展を図るため、空港運営の民間委託を通じて、人流、物流の拡大を図ることが重要であることから、一括民間委託の大きな目的の一つに、航空貨物取扱量の増を位置づけるとともに、関係者が共有すべき目標の一つとして、貨物取扱量を設定したところでございます。
具体的には、国際貨物の年間取扱量について、2015年度実績の約2倍となる2万トンを2030年度に目指すとともに、将来的には、国内貨物と国際貨物の合計で年間30万トンを目指すとしているところでございます。
(梅尾委員)
次に、新たな輸出品目の可能性についてお伺いをいたします。
これまでの機能強化の取り組みについて伺います。
まず、道が昨年に委託調査を行った道内空港国際航空貨物輸出促進調査についてでありますが、報告によれば、今後、輸出をふやしていくには、水産物のみならず、品目の多様化が必要という報告がありました。確かに、現状では水産物の取り扱いが過半を占めており、貨物を安定的にふやしていく上では重要な取り組みと考えております。
新たな貨物の増加の可能性をどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
(航空課長)
新たな輸出品目の増加の可能性についてでありますが、ホタテなどの水産品の取り扱いが減少する一方で、最近では、スイーツなどの加工食品の輸出がふえている状況にあり、また、道内空港国際航空貨物輸出促進調査において、東南アジアでのニーズを現地ヒアリングしたところ、水産品のみならず、メロン、トウモロコシ、チーズ、ヨーグルトといった道産品にも関心が高いことがわかったところでございます。
道産品の輸出については、各航空会社にも強い関心や期待を持っていただいており、輸出品目の多様化に向け、庁内の関係各部とも連携して取り組んでまいります。
以上です。
(梅尾委員)
そこで、国際航空貨物機能の強化に向けた取り組みについて伺います。
SIACTにおいては、昨年の秋から冬にかけて、冷凍・冷蔵庫の増強や貨物取扱時間の延長といった実証事業を行ったと承知しております。
機能強化に向けた取り組みの一環と理解しておりますが、その結果をどのように評価しているのか、お伺いをしたいと思います。
(航空課長)
実証事業の評価についてでありますが、SIACTが実施した実証事業のうち、営業時間の拡大に関する取り組みでは、昨年12月の繁忙期において、7時から8時の早朝の時間帯にホタテの荷おろしが3件あり、また、運送事業者に対するアンケート調査の結果も踏まえると、早朝の時間帯での荷おろしのニーズを一定程度把握できたと承知しております。
また、冷凍庫、冷蔵庫の拡充による高鮮度保持機能の整備につきましては、高鮮度での保持管理の向上や、容量の拡張による保管機能の向上などが図られたほか、冷凍・冷蔵品目の取扱利用がふえたと伺っており、今後の国際航空貨物の機能強化に向けて、一定の成果があったと受けとめております。
以上でございます。
(梅尾委員)
次に、取扱貨物の品質管理についてお伺いをしたいと思います。
今後、貨物をふやしていくためには、品質の確保も重要な論点と考えます。例えば、現在、主力となっている生鮮品の輸送においては、手狭と言われていた冷凍・冷蔵庫のさらなる増強も必要ではないかと考えるわけであります。
貨物の取り扱い時の品質管理の向上に向けた議論も必要と考えますが、道の見解をお伺いいたします。
(航空課長)
取扱貨物の品質管理の向上についてでありますが、生鮮品が多い本道の国際航空貨物においては、特に温度管理が重視される傾向にあり、関係者も取り扱いに細心の注意を払っているところでございます。
冷凍庫、冷蔵庫などの設備につきましては、実証事業を通じて、一定程度、改善が図られたところでございますが、一方で、冷凍庫につきましては、予想を上回る高い稼働率となっているとも伺っており、潜在的なニーズが顕在化してきているというふうに承知しております。
SIACTにおける業務執行体制も含めまして、より効率的な運用による品質管理の向上を図ることは重要であり、今後、関係者と検討を深めてまいる考えでございます。
以上でございます。
(梅尾委員)
品質管理の向上が重要という論点は非常に大事なことであろうかと私は思うわけであります。
今の共同上屋の状況を見ますと、冷凍・冷蔵庫を増強してはおりますけれども、冷凍庫については、パレットを5枚入れれば、すぐいっぱいになってしまう、そんな狭隘な冷凍庫しかありません。
冷蔵庫についても、一応、フォークリフトは入るようになりましたけれども、私が現地に行って拝見したところ、まだ2倍、3倍の冷蔵庫が要るように思いました。
いずれにしても、預かったホタテが特にいい例になるかと思いますけれども、品質をきちっと保持して、目的地に輸出することが求められます。SIACTの管理体制がしっかりしていなくて、現地で品質が落ちてしまい、他国から、新千歳空港経由の輸出はだめだというレッテルを張られるような品質管理であれば、どうしようもないわけであります。
この辺の管理体制については、そういった視点を十分持って、しっかりとした施設づくりをすることが、他国から信頼されることにつながっていくと私は思うものですから、SIACTと十分な協議をする中で、将来に向かって、施設の整備と充実を図っていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
次に、共同上屋の狭隘化についてお伺いをしたいというふうに思います。
SIACTは、現在、共同上屋として、航空会社や物流事業者などの各社が共同で使用する運営形態となっております。
このため、航空貨物の搬入、搬出に加え、一部、トランジットの航空貨物の保管もあわせて行っており、手狭となりやすいということが考えられるわけでありますけれども、道の見解をお伺いしたいと思います。
(航空課長)
共同上屋のスペースについてでありますが、上屋は、創設当初から、運営を行うSIACTに加え、物流事業者や航空会社などの関係者が一つの施設を共同で利用する運営形態をとってきております。
このため、多くの輸入貨物が到着した際には、道内各地に貨物を搬送する事業者の都合により、貨物の搬入・搬出作業以外に、一時保管のためのスペースが一定程度必要になっている状況と承知をしております。
また、御指摘の新千歳空港を経由するトランジットの航空貨物を保管するケースもあるというふうに承知しております。
共同上屋のスペースにつきましては、限られた容量をどのように効率的に運用するかといった点も含め、SIACTの実証事業も踏まえながら、関係者による運営方法全体の見直しの中で検討されるべきと考えております。
以上でございます。
(梅尾委員)
私から言うまでもないのですが、現状では、約1万トン前後の貨物がこの共同上屋を使っています。本来であれば、輸出上屋、輸入上屋、それから、航空会社とか物流事業者の事務系の上屋、そういった上屋がきちっと分けられていて、輸出、輸入の品物の整理、その他、関税の手続等々をやるのが上屋のあり方ではないかと、私は他の空港の施設を見てきて感じておるわけであります。
共同上屋の狭隘化については、よくこれで事故を起こさないなという時間帯もありまして、これから道産品輸出額1500億円を目指すという力強い北海道の目標に向かっては、到底――今の共同上屋では1万トン程度しかさばけません。ましてや、トランジットの一時保管の荷物もどんどんふえてきています。
こういう状況ですので、個人的な意見ですけれども、私は、SIACTの施設体制を抜本的に改善していかなければならないと思っていまして、今の目標を達成するためには、この共同上屋では到底だめだなと感じるぐらい狭隘です。
それから、搬入、搬出の動線、つまり、入ってきて、おろして、荷さばきをして、出ていくといった動線も、今の構内では十分ではないと思っています。そういった、トラックによる搬入、搬出も非常に手狭になっているという状況も含めて、狭隘化をいかに早く解消するかが大事だと思っています。これもまた、SIACTとしての考え方があると思いますから、十分協議するよう、お願いをしたいというふうに思います。
次に、受け入れ能力の強化に向けた取り組みについてですが、SIACTの受け入れ能力の強化は喫緊の課題であると考えるわけでありまして、今後、この課題の解決に向けて、どのようなスケジュール感で取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
(航空局長)
SIACTの受け入れ能力の強化についてでありますが、新千歳空港を活用した輸出及び輸入の取扱量は、5年前の約2倍程度と、近年、急激に増加し、この3年間は、総量が1万トン弱の水準で推移しております。
取扱貨物の内訳では、輸出はやや減少傾向にあるものの、輸入は安定して増加しており、取扱品目の多様化や生鮮品の増加など、 従来とは、受け入れ施設に求められる機能が変化してきていると認識いたしております。
また、今後、さらなる取扱量の増加を目指していくためには、受け入れ能力の強化を含め、さまざまな課題があると認識しており、こうした状況の変化も踏まえ、SIACTを初め、関係者の皆様と、課題の解決に向けた検討を加速化してまいる考えであります。
以上です。
(梅尾委員)
最後に局長が言われたように、検討を加速化するということが今本当に求められていると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
最後ですが、道の主導的な取り組みについてお伺いをしたいと思います。
道が掲げている道産品輸出額1000億円の目標の達成には、今後、金額的に2割弱を占める航空貨物の増加に主体的に取り組んでいくことが重要であると考えます。
道は、SIACTの筆頭株主として、国際航空貨物の増加に向け、SIACTの機能強化に主導的に取り組むべきと考えておりますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
(総合政策部交通企画監)
SIACTの機能強化の取り組みについてでございますが、輸出量の拡大に向けて、道といたしましても、道産品輸出額1000億円の目標を掲げておりまして、また、人の交流はもとより、航空物流の拡大は路線の安定的な維持にも資することから、国際航空貨物の受け入れ体制の整備は、今後の本道の発展にとって大変重要と認識をしてございます。
道といたしましては、今年度、道内空港国際航空貨物輸出促進調査事業を通じ、ソフト面、ハード面でのさまざまな改善点を整理したところでございまして、その中心的な役割を担うSIACTの、先ほど御指摘もありました品質管理あるいは上屋などの機能強化に向けましては、現在、SIACT社内において検討が進められておりますけれども、道といたしましても、他の株主や関係者との調整、連携に主導的に取り組んでいくなど、積極的に役割を果たしてまいる考えでございます。
(梅尾委員)
ぜひよろしくお願いをいたします。
次に、新千歳空港の24時間運用についてお伺いをしたいと思います。
新千歳空港の24時間運用に係る深夜・早朝時間帯の発着枠については、平成28年8月までに、千歳市、苫小牧市の地域住民の合意を得て、6枠から30枠に拡大し、昨年から本格的な運用が開始され、今年の夏ダイヤにおいては、1日で最大14枠が使われるなど、順調に利用が進んでいるものと承知をしております。
一方で、地域との約束である、枠拡大に伴う住宅防音対策についても、公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団において、昨年から本格的に実施されているものと承知をしておりますが、住民の安全、安心な暮らしを確保する上で、住宅防音対策は極めて重要であり、適切かつ速やかに工事が進められる必要があると考えるわけであります。
そこで、現在進められている住宅防音対策の実施状況や今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
まず、住宅防音対策の進捗状況について伺います。
昨年7月の千歳市地域協議会では、8月から本格的に住宅防音工事を実施すると説明がありましたが、現時点において、工事の進捗状況はどのようになっているのか、また、地域住民からは具体的にどの程度の工事希望があり、工事実績は何件であるのか、お伺いをいたします。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
住宅防音対策についてでありますが、新千歳空港の深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大に伴い、公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団を実施主体として、今年度から、本格的な住宅防音工事の助成事業を開始したところでございます。
地域住民の皆様に対して、昨年3月に、工事の実施時期などについて意向調査を行い、今年度中の工事を希望する世帯の中から、騒音の影響の大きい地域や、障がい者、高齢者などが居住する345件を優先することとし、現地調査を実施した上で、昨年8月に、工事の助成申請が可能な住宅である旨の通知をしたところでございます。
それらの世帯のうち、本年2月末現在で、財団に対して246件の防音工事助成申込書の提出があり、その全てに内定通知を送付いたしましたが、助成交付申請の提出があったのは90件、実際に工事を行ったのは67件となってございます。
以上でございます。
(梅尾委員)
そこで、工事が進んでいない理由について伺いたいと思うのです。
財団が助成を内定した246件に対し、今年度の工事実績は67件という答弁でありましたが、これでは、地域住民の工事希望に十分応えたとは到底言いがたい結果となっております。どのような理由で工事が進まなかったのか、お伺いをしたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
住宅防音工事についてでありますが、このたびの発着枠拡大に伴う住宅防音対策につきましては、防衛省基準に準拠した基本工事のほか、寝室対策である補完工事や、千歳市においては基金を活用した工事の実施も可能とするなど、制度の内容が多岐にわたっているところであります。
また、今年度が本格的な防音工事の初年度ということもございまして、制度の内容について、地域住民の皆様や工事の設計施工に係る事業者に十分に理解いただけず、事業者の選定や設計業務に相当の期間を要してしまったことなどから、施工時期が冬期にかかってしまい、地域住民の皆様が当該時期の工事を延期したことなどが、工事が進まなかった要因と考えております。
以上でございます。
(梅尾委員)
この工事が進まなかった理由はいろいろありますけれども、関連がありますので、次の事項をお聞きしたいと思います。
次に、財団の事業実施体制についてであります。
工事が順調に進まなかった理由の一つとして、住宅防音工事に係る制度への地域住民や関係事業者などの理解が十分ではなかったとのことでありましたが、道や財団から地域住民などに対する説明が不足していたということではないのでしょうか。
平成27年の4定において、制度の複雑さから、専門的な知識を備えた人員の配置など、財団の実施体制の充実強化を指摘してまいりましたけれども、現在、財団はどのような体制で対応しているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当課長)
事業の実施体制などについてでありますが、住宅防音対策の内容につきましては、道と財団におきまして、昨年1月から3月にかけて、地域住民の皆様を対象としました説明会を開催したほか、事業者に対しては、昨年5月から本年3月にかけて、合計8回の技術講習会を開催するなど、関係者の方々の制度への理解を深めていただくよう努めてきたところでございます。
加えまして、財団におきましては、昨年度までの5名の人員体制を見直し、今年度からは、地域住民の皆様や事業者からの相談に適切に対応できるよう、建築の技術職の2名を含め、4名を増員し、合計9名として体制を拡充強化したところでございます。
(梅尾委員)
住宅防音対策の基本的な制度設計は道の役割と思うわけでありますが、地域住民や関係事業者への窓口として直接対応するのは財団であります。
財団が制度を熟知した上で、適切に運用していくためには、道と財団が連携を密にし、意思疎通を徹底していく必要があると思います。今後、どのように対応していくのか、お考えを伺いたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当局長)
財団と連携した取り組みについてでございますが、道におきましては、事業の実施に必要な要綱や仕様書の作成、予算の確保、国を初めとする関係機関との調整などを行い、財団におきましては、当該要綱や仕様書を踏まえて、住宅防音工事の助成事業に係る手 続、地域住民の皆様や事業者からの専門的な問い合わせ、相談への対応などを行っているところでございます。
このような役割分担のもと、本事業を円滑に推進する上では、道と財団の間で十分な意思疎通を図り、制度の運用や解釈を双方が共有、理解し、計画的な工事の実施に的確に対応していくことが重要と認識してございます。
このため、今年度の課題や問題点を検証しまして、道と財団の間で、施工現場における仕様や運用の改善点などについての情報交換を積極的に行うとともに、個別の協議事案についても速やかに対応ができるような仕組みをつくるなど、これまで以上に連携を密にして取り組んでまいる考えでございます。
(梅尾委員)
今御説明があった点が非常に大事だというふうに私は思っております。
この事業は、民生安定のための事業でありまして、現地にいる財団の職員の方々も、住民や事業者への対応など、本当に一生懸命やられているのです。今答弁にありましたように、財団と道が今まで以上に連携を密にしていただくことが工事件数の増につながりますし、皆さんの御苦労が報われることにもなろうかと思っておりますので、本当に風通しのいい体制、そして、苦労が報われるような体制にしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
次に、地域住民や事業者との関係についてお伺いをいたします。
年間で六、七十件程度の工事実績では、この先、対象区域の工事完了まで何年かかるか、わからないわけであります。今後、住宅防音工事を円滑に進めていくためには、地域住民や事業者の声をよく聞いて、信頼関係を構築し、理解、協力を得ながら取り組んでいく必要があると考えます。
地域住民などのニーズをどのように把握していくのか、お伺いをしたいと思います。
(新千歳空港周辺対策担当局長)
地域住民の皆様との関係などについてでございますが、道におきましては、これまでも、地域協議会の場などにおいて、住宅防音対策に係る御要望などをお聞きし、できる限り制度に反映されるよう努めてきたところでありますが、制度の内容が多岐にわたることなどから、地域住民の皆様や事業者に十分な理解がなされなかったものと考えているところでございます。
また、今年度の事業の進捗状況を踏まえますと、工事内容や時期などに係る住民の皆様からの御要望を直接お聞きし、助成手続を代行するのは事業者でありますことから、事業執行上の課題に対する事業者の意見、要望を的確に把握し、その負担を軽減することが重要であったと考えているところでございます。
このため、今後は、財団と連携しまして、制度の内容をわかりやすくまとめたパンフレットの作成、配付や、住民説明会を開催するとともに、事業者を対象とした技術講習会に加えて、個別相談会を実施するなど、相談体制を充実し、地域住民はもとより、事業者などのニーズも的確に把握してまいる考えでございます。
(梅尾委員)
先ほどお話ししたように、このままいけば何年かかるか、20年なのか25年なのか、わからない状況なのです。
高齢者などが居住する住宅を優先しているのですが、皆さんは御存じないと思いますけれども、昨年1年間で、この対象者で亡くなった方が3名もいらっしゃるのです。それだけ高齢化している地域であるという認識に立って、そういったことが起きないような 早い対応をとることが望まれますので、体制を強化して、今後もしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、今後の進め方についてでありますが、住宅防音工事については、地域住民の安心、安全を確保するために、できるだけ速やかに進めていくことが求められております。
このため、道と財団の密接な連携のもと、地域住民の希望に沿うよう、事業者とも情報共有を図り、協力しながら、きめ細かに対応していくことが必要と考えます。
今年度の反省を踏まえ、来年度以降、どのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
(総合政策部交通企画監)
住宅防音対策の今後の進め方についてでございますが、新千歳空港の24時間運用に係る深夜・早朝時間帯の発着枠の拡大に伴い、 道が地域住民の皆様とお約束をした住宅防音対策につきましては、地元の千歳市、苫小牧市及び新千歳空港周辺環境整備財団と常に 情報共有を図りながら、密接な連携のもと、実施していかなければならないものと認識をしてございます。
本事業を円滑に進めていくためには、地域住民の皆様はもとより、設計施工事業者の理解、協力が大切であり、また、事業の窓口となる財団がこれまで以上に地域から信頼されるよう、道がしっかりとバックアップをしていくことが重要と考えてございます。
このため、新年度におきましては、道も、必要に応じて、財団が行う、工事の事前準備のための各戸訪問に同行するほか、道と財団の共催で、地域住民の皆様や事業者との意見交換会、個別相談の場を設けるなど、連携強化を図るとともに、関係者間で事業執行上の課題を共有するなど、財団との十分な協力のもと、事業を進めてまいる考えでございます。
(梅尾委員)
繁忙期には、今の財団の人員では決して十分でないと私は思いますけれども、それを増強するにはいろいろな課題があることも知っております。
そのために、答弁がありましたように、道の職員の応援体制が大切でありまして、財団任せという言葉はちょっと適当ではないかもしれませんけれども、道の職員も財団と一緒になって地域対応をしっかりやっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。