平成28年第3回定例会本会議一般質問(9月27日)

2018.05.12 9:00:00

第3回定例会本会議一般質問(9月27日)
 
1 道路の防災・減災対策について
2 農村における観光振興について
3 空港の民間委託について
4 北朝鮮によるミサイル発射などについて

 
(梅尾議員)
 通告に従いまして、以下質問をしてまいります。
 まず、道路の防災・減災対策についてであります。
 1点目として、道路の防災対策についてお伺いをいたします。
 本道では、8月に、台風7号、11号、9号が相次いで上陸したほか、台風10号から変わった温帯低気圧などにより、記録的な豪雨に見舞われ、道内各地で、河川の氾濫などにより、住宅地や農地の浸水被害が発生をいたしました。
 また、国道274号の日勝峠では、覆道内の下の土が流され、道路自体が崩落するなど、複数箇所で被災しており、現在も通行どめが続くなど、復旧の見通しも立っていない状況となっております。
 このため、交通、物流を確保するために、道東自動車道の一部区間を無料開放するなどの措置がとられているものの、道民の暮らしや経済社会活動に多大な影響が出ております。
 道路は、平時において、物流や観光産業の根幹をなすことはもとより、災害発生時には、避難、救援物資の輸送などのかなめとなるなど、その防災対策は重要であると考えます。
 今回の大雨による被害のような、突然の落石や、斜面が崩壊して道路を塞ぐような被災についても、事前に危険性を把握し、対応することによって、被害を最小限にとどめる必要があると考えます。
 こうした道路の防災対策について、どのような認識を持ち、今後、どのように進めていくのか、道の所見をお伺いいたします。
 二つ目として、道路施設の調査についてであります。
 今回の台風10号では、市街地において冠水するなど、住宅被害なども多くあったところでありますが、市街地では、道路の下に水道や下水道の管渠などの多くの埋設物があり、土砂の吸い出しが要因となる舗装路面下の空洞化が懸念されるところであります。
道道については、日ごろから、道路パトロールによる点検を行っていることは承知しておりますが、道路陥没事故の原因とされる、舗装路面下に発生する空洞などは、表面からの点検ではわからず、日常の点検で把握することは難しいと考えます。
 国や札幌市などは、路面下空洞調査を計画的に実施されており、道においても、路面下空洞調査を計画的に行うべきと考えますが、どのように取り組もうとしているのか、お伺いをいたします。
 
 次に、農村における観光振興についてであります。
 特に、外国人旅行者などの農村への受け入れについてでありますが、政府の、明日の日本を支える観光ビジョンの中では、日本の農村、山村、漁村の美しい自然や生活を外国人旅行者に体感し、満喫してもらうため、滞在型の農山漁村の確立、形成を目指すこととしております。
 そのための取り組みとして、特色のある地域の食と、その生産地の景観等を活用して外国人旅行者をおもてなしする取り組みについて、食と農の景勝地として認定し、これを一体的に海外に発信することや、これと連携して、日本の伝統的な生活の体験、農村地域での交流を楽しむことのできる農泊を推進すること、また、地域の農畜産物をお土産として円滑に持ち出すことができるよう、動植物検疫体制の整備を進めることなどが掲げられております。
 道では、これまで、農泊に類似したグリーン・ツーリズムを進め、都市部の方々や子どもたちについて、農家の民宿や民泊の取り組みにより、受け入れを推進してきておりまして、道内における実績は相当あります。
 さきの第1回定例会では、農家民宿等の取り組みの課題として、限られた労働力の中で、受け入れの負担が大きいとか、十分なPRができないといった現場の声があると答弁をされておりますが、このような課題を抱える中で、外国人旅行者も含めた農村への受け入れ体制の整備を進めることについては、道としてもしっかりとサポートする必要があると考えます。
 今後、道としてどのような取り組みを進めようとしているのか、お伺いをいたします。
 
 次に、空港の民間委託についてであります。
 道内空港の民間委託については、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れて、2020年の移行を目指しているものと承知しております。4年後といえども、いまだ全国でも例のない複数空港の民間委託ということであれば、時間があり過ぎるとは決して言えないわけであります。
 こうしたことを踏まえて、国管理の4空港が所在する5市や道内の経済界などでは各種の検討会が立ち上がり、道、国への提言も次々と予定されていると理解をしております。
 空港の民間委託は、地域の意向を踏まえることが基本であり、道としても、北海道発の提案に向けて、そうした提言に耳を傾けるということは理解しますが、空港の民間委託と密接なかかわりのある関係自治体や経済界は、道の動きに不安を感じて行動している面があるのではないでしょうか。
 道は、今月、ようやく北海道発の提案の素案を取りまとめて、議会の特別委員会に示すとともに、パブリックコメントを開始しました。
 民間委託を目指す7空港の関係者の意見をしっかり把握することは重要でありますが、同時に、まだ経験のない民間委託について、道民の方々にしっかり情報発信をするなどし、素案にもあるように、広域観光の振興に資する民間委託を、道民を挙げた取り組みにしていくべきと考えます。
 また、そのためには、時期を逸しない正しい情報発信も重要であります。いまだに、空港の民間委託は民営化と混同され、いかにも空港を民間企業に売り渡すかのような誤解を招いている面もあるのが典型的な例であります。
 こうした点を踏まえて、数点伺います。
 1点目は、国管理4空港懇談会の提言についてであります。
 2020年の空港の民間委託への移行を考えると、道の動きが遅いのではないかとの懸念があります。中でも、具体的な目標を持って取り組もうとしているのか、その姿が見えないということであります。どのような目標を掲げて民間委託に取り組もうとしているのかという、道の明確なスタンスが見えてこないことから、国管理4空港懇談会も、具体的な数値目標を示し、道に提案してきていると理解するものであります。
 私は、空港の民間委託のキーワードは観光振興であり、道としては、民間委託を活用してインバウンドの振興を図るといった観点から目標を掲げ、イニシアチブをとって、民間委託の取り組みと並行して、観光振興も進めるべきと考えます。
そこで伺いますが、道としては、この提言の動きをどのように受けとめ、数値目標を含め、どのように北海道の提案に盛り込んでいこうとしているのか、お考えをお伺いいたします。
 2点目は、民間委託の対象空港についてであります。
国管理の4空港については、当初から、管理者である国や地元自治体も民間委託の意向を示しておりますが、二つの市管理空港や道管理の女満別空港については、素案でも明示せず、民間委託の対象を最大7空港と表現しておりますが、その理由は何か、お伺いをいたします。
 また、かつて、旧法案時にバンドリングと説明されていた、一体的運営、一括委託の具体の姿については、いつの段階で明らかにしていくのか、スケジュールも含めて、お考えをお伺いいたします。
 3点目として、複数空港の一体的運営のメリットについて、改めてお伺いをいたします。
 いわゆるバンドリング――複数空港の一体的運営、一括委託の考え方についてでありますが、新千歳空港の黒字で他空港の赤字を賄うというのであれば、これまでの空港整備勘定のプール制と何ら変わるものではないといった声もあります。これでは、民間委託の導入による効果が全道に波及し、本道全体がよくなるような取り組みにはつながらないと考えます。
 このたびの民間委託において、どのような効果を期待して、複数空港の一体的運営を目指しているのか、お伺いをいたします。
 
 次に、北朝鮮によるミサイル発射などについてであります。
 北朝鮮は、近年、ノドンを含む弾道ミサイルを、移動式発射台を用いて多数発射しており、ミサイル部隊の運用能力の向上、奇襲的攻撃能力を誇示し、弾道ミサイルの長射程化、高精度化が進んでおり、核弾頭搭載弾道ミサイルが配備されるリスクが増大し、我が国の具体的な都市名を挙げて、弾道ミサイルの打撃圏内にあることを強調している現況にあります。
 このような中、今月5日、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射しましたが、これは、8月3日の秋田県沖への落下に続き、2回目の我が国の排他的経済水域内への落下であり、今回の落下地点は奥尻島の西200キロメートルから250キロメートル付近であったことが明らかになりました。
 さらに、今月9日には、ことし1月以来5回目の核実験が実施され、北朝鮮の一連の行為は、我が国の安全に対する重大かつ切迫した脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものであります。
 北朝鮮が、国際社会から非難を受けているにもかかわらず、国連安保理決議を無視した暴挙を繰り返していることは断じて許されることではありません。
 そこで伺います。
 1点目は、知事の認識についてです。
 今回は、北海道沖に落下し、しかも、周辺海域はイカ釣り漁船の操業海域であったという意味で、北海道として看過することができない事例と考えます。道として、どのように認識し、どういった対応をしたのか、改めてお伺いをいたします。
 2番目として、自衛隊の体制強化についてであります。
 自衛隊は、我が国の防衛はもとより、国際平和維持活動や災害時の救助活動などにおいて大きな役割を果たしておりますが、北海道周辺においても、自衛隊機による緊急発進が年々増加しており、加えて、今回、北朝鮮のミサイルが本道方向に飛来するなど、北の守りの強化が大変重要であります。
 今年度は、中期防衛力整備計画の策定から3年目を迎え、国において、計画の見直しの必要性について検討されることとなっていることから、全道の179市町村で組織する北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会においても、今年8月に中央大会を開催し、自衛隊の体制強化を求める中央要請を実施したところであります。
 こうした中、今般の台風などによる大雨災害においても、多くの自衛隊員が災害派遣をされ、救出・救助活動や給水活動などに貢献したところであります。
 道民の安全、安心のためには、自衛隊の体制強化が必要と考えますが、知事のお考えをお聞きし、私の質問を終わります。
 
(高橋知事)
 梅尾議員の御質問にお答えをいたします。
 最初に、道路の防災対策についてでありますが、このたびの一連の台風により、全道において甚大な被害が発生したところでありますが、昨今、道内においては、局地的な集中豪雨による災害が頻発しており、これまで以上に、自然災害への対応は重要と認識をしているところであります。
 道といたしましては、豪雨による落石等の危険箇所を把握するため、平成18年度に道路防災総点検を実施し、早期に対策が必要な箇所に対して整備を進めてきたところでありますが、本年度から、再度、現状を把握するため、点検に着手したところであり、この点検の結果を踏まえ、必要な対策を講ずるなど、道路の安全性の向上に引き続き取り組んでまいります。
 次に、空港の民間委託に関し、まず、北海道発の提案についてでありますが、道内空港の民間委託は、民間の知恵と資金を活用して、航空ネットワークや空港機能の充実強化を図ることにより、海外の成長力を取り込み、観光立国・北海道の推進につなげようとするものであります。
 また、国管理4空港懇談会の皆様方の提言は、空港の民間委託を本道の発展にどうつなげていくかという観点から、地域としての意見をまとめられたものと受けとめているところであります。
 この方向性は、道の目指すところと同じであり、数値目標も含め、具体的な内容について検討しながら、今後、地元の御意向や道民の皆様方の御意見を踏まえつつ、国管理4空港懇談会の提言も十分参考にしながら、北海道発の提案を取りまとめてまいります。
 次に、民間委託の対象空港についてでありますが、道といたしましては、地元自治体等との意見交換や、国と地方の協議会の経緯などを踏まえ、国が管理する4空港に加え、女満別空港、旭川空港、帯広空港を含む7空港を、同一事業者に一括委託することが望ましいと考えているところであります。
 一方、地域においては、地元での議論を深めているところもあることから、北海道発の提案の素案においては、民間委託の対象として考えられる現時点での最大の空港数をお示ししたものであります。
 こうした考えに基づき策定した素案に対する道民の皆様の御意見を伺うため、パブリックコメントを行うとともに、関係自治体や経済界とも引き続き意見交換を行っているところであります。
 道といたしましては、皆様方からいただいた御意見や地域の御意向も踏まえ、年内をめどに、道内空港の一体的運営の具体の姿について成案を得て、国に提案をしてまいります。
 次に、複数空港の一体的運営についてでありますが、道内空港の民間委託においては、空港間での運営ノウハウの共有や、スケールメリットを生かした路線の誘致、資材調達等の交渉力の強化を初め、食、観光の分野での新規需要の創出や取扱貨物の大幅増加、災害時の柔軟な対応などが期待される複数空港の一体的運営を目指すこととしているところであります。
 また、道内各地の空港には、自然や文化を初め、多様な資源が広がっていることから、こうした資源を生かして、地域間の連携による広域観光周遊ルートの形成を図ることなどにより、国内外から、より多くの方に来ていただくことができるものと考えるところであります。
 私といたしましては、こうした民間委託の効果が本道全体に確実に及び、北海道の発展につながるよう、道内空港の一体的運営の実施に向け、全力で取り組んでまいります。
 最後に、北朝鮮によるミサイル発射などに関し、自衛隊の体制についてでありますが、自衛隊の活動は、我が国の平和と安全を守ることはもとより、災害時における人命救助や生活支援など、国民、道民の安全と安心を確保するため、大変重要な役割を担っていると認識しているところであり、このたびの本道における台風などによる大雨災害においても、全道で、延べ2100人の自衛隊員の方々により、150人を超える孤立者の救助や、行方不明者の捜索、さらには、給水、入浴などの災害対応に当たっていただいているところであります。
 道といたしましては、これまでも、国に対し、北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会と連携協力をし、道内の自衛隊の体制や機能の維持充実について要望してきているところであり、自衛隊が果たしている役割の重要性を踏まえ、今後とも、積極的に働きかけてまいる考えであります。
 なお、その他の質問につきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
 以上でございます。
 
(建設部長)
 道路の防災・減災対策に関し、路面下空洞調査についてでありますが、道では、平成25年度より、市街地や緊急輸送道路などを対象に、路面下空洞調査を実施してきたところであり、昨年までの調査によって、補修が必要となった空洞が12カ所発見され、修繕を行ってきたところでございます。
 こうしたことから、引き続き、今年度も調査を進めているところであり、今後は、これらの調査結果をもとに、路面下空洞の発生傾向や原因などを把握し、今後の調査の進め方について検討してまいります。
 以上でございます。
 
(農政部長)
 農村における観光振興に関し、外国人旅行者などの農村への受け入れについてでございますが、本道の農村地域では、豊かな自然や新鮮でおいしい農畜産物、さまざまな農業体験などを求める国内の旅行者に加え、近年、外国人の方々の増加も見られます。
 一方で、大規模で専業的な農家が主体の本道にあっては、受け入れ農家の負担が大きいといった課題もありますことから、農家の方々だけではなく、地域の観光業や飲食業の方々など、多様な主体が連携を図り、公共の宿泊施設も活用するなど、地域ぐるみで受け入れる体制を整備することが重要と考えております。
 このため、道といたしましては、現在、地域で農家民宿や体験学習などに取り組んでおられる方々から、今後に向けた課題などについてお話を伺っているところであり、外国人旅行者の受け入れも含めた、農村における多様なツーリズムの方向や、全道的なネットワークづくり、効果的な情報発信などについて検討し、地域の活性化に向けた具体的な取り組みを展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
 
(総務部危機管理監)
 北朝鮮のミサイル発射についてでありますが、今般、北朝鮮によって行われた、我が国の排他的経済水域内へのミサイルの発射は、本道はもとより、我が国全体の安全保障に対する重大かつ深刻な脅威であり、国際社会の平和と安定を著しく損なう行為であります。
 特に、ミサイルが、本道の奥尻島沖の漁業者が操業する海域付近に落下したことは、ともすれば道民に被害が及ぶ危険性もあり、断じて容認することはできないものと認識をしております。
 道といたしましては、このたびのミサイル発射に当たっては、国からの連絡を受け、直ちに、道内の全市町村に対して情報提供を行うとともに、ミサイルの落下地点などのより詳細な情報を国に問い合わせるなど、情報収集に努めたところであり、今後とも、こうした危機対応に関し、緊張感を持って当たってまいります。
 以上でございます。